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ギガントアーム・スズカゼ 第七話 製作途中版⑤

この記事はギガントアーム・スズカゼ第七話の書き上がった最新分を掲載しているものです。
これまでの話は下記リンクから読めます。
https://kakuyomu.jp/works/16817139556247117561

◆ ◆ ◆

 一年前、トーリスはザントイル国を見下ろすこの基地に、己のアンカータイプと共に着弾した。そして、一気呵成に制圧。そこからザントイルを飲み込む巨大六角形が完成するまで、三日とかからなかった。素晴らしい戦力、素晴らしい戦果。
 しかしてその中核をなしたトーリスのアンカータイプは、今この場に無い。名前通りの|楔《アンカー》として、眠っているのだ。
 而して先日、交戦した六機目のアンカータイプ、ギガントアーム・ランバ。一度目の遭遇戦闘といい、二度目の威力偵察といい、グラウカタイプだけでは相手にならない事が良く分かった。
 アンカータイプへ抗する為には、こちらもアンカータイプを用意する必要がある。ウォルタールに潜り込んでいるスパイ共々、一致した結論であった。
 故にトーリスは戦闘データを纏め、エルガディア魔導国へ上申した。ギガントアーム・ランバへの対処方法を。スパイがクラッキングで手に入れたギガントアーム・ランバの解析情報は、それをする上でとても役に立った。
 そうして、そろそろ一日。
 不意に、コンソールがメールの着信を告げた。

「おっ、来た来た来ましたよ」

 即座にモニタへ表示するトーリス。文面と添付データは、まったくもって予想通りのものだった。

【貴官の意見を了承する。ウォルタール撃破、およびギガントアーム・ランバの鹵獲ないし破壊のため、アンカータイプの使用を限定解除する】

 長々とした文面であるが、要はそう書かれていた。そして添付データはブランケイドの封印を解くためのプログラムだ。トーリスはこれを待っていた。一も二もなく実行。基地に残っていた半壊アンテナがどうにか顔を上げ、ザントイル国を覆いつくす超巨大六角形へ、信号を照射。異変は直ちに起きた。
 僅かな傷のひとつすらなかった六角形、その天面がにわかに波打ったのだ。嵐の海のように渦巻くオレンジ色は、やがて中央に巨大な竜巻じみた柱を形成。その柱を断ち割って、巨大なシルエットが姿を現す。
 太く、巨大な持ち手。恐ろしく肉厚の両刃はハイブリッド・ミスリルで作られており、三日月型に歪曲している。赤い装甲の要所には、ランバと似た雰囲気の継ぎ目が存在している。同じ機構を備えたギガントアーム――アンカータイプなのだ。
 その名を、最新の愛機の名を、窓越しにトーリスは呼んだ。

「相変わらず惚れ惚れする刃だな、ギガントアーム・ブランケイド」

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