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ギガントアーム・スズカゼ 第七話 製作途中版②

この記事はギガントアーム・スズカゼ第七話の書き上がった最新分を掲載しているものです。
これまでの話は下記リンクから読めます。
https://kakuyomu.jp/works/16817139556247117561

前回のラストを書き直したので重複があります。

◆ ◆ ◆


 ウォルタールにはビームガンなどの他にも数々の召喚武装が搭載されており、これらを瞬時に切り替える事で高い適応力が発揮できる事を本来のグラウカ・カスタムには期待されていた。それが表向きに発表されたウォルタールの建造、及び発進理由だった。
 その効果自体は実証された。が、それはスズカゼというたまたまハイブリッド・ミスリルを搭載していた別の機体が行ったものだ。加えて召喚システムへの接続認証を出したのが若君ことティルジット・ディナード四世なのだからたまらない。

「ま、いつもの事だがのう」

 溜息一つついてから、マッツは改めてモニタへ向き合う。与えられた任務を、スズカゼの戦闘データ整理及びアップデートを行うために。
 そうした一連の作業を行うコンソールが、今まさにまったく別の場所からクラッキングを受けている事に、マッツは気付いていない。

◆ ◆ ◆

 それはとても壮観で、不自然な眺めだった。
 ここにはかつて、崖の切り立つ山の峰々があったのだ。
 名をグレイブロック山地。その名の通り灰色の岩を積み上げたような山脈は、イーヴ・ラウスの歴史において幾度か激戦の舞台となった。ザントイルとシャエーラ、長く対立していた二国の国境に陣取っていたとあれば、むべなるかな。
 現在、そのグレイブロック山地には二国を結ぶ山道が走っている。長く、緩やかな峠道。坂の頂点にはザントイル軍の国境警備基地があり、その中で最も背が高い司令塔からは灰色の山々と、裾野から広がるザントイルの風景が見えたものだ。
 そう、ザントイル国。かつて彼が、トーリス・ウォルトフが所属していた国。
 その風景が、今は無い。
 山の灰色は辛うじて中腹くらいまで残っているが、そこから先がごっそりと無くなっている。
 正確には、塗り潰されてしまっているのだ。ただ一色のオレンジ色に。遠く、衛星軌道上から見下ろせば、このオレンジ色が国家を一つ吞み込む程に巨大な六角形である事が分かっただろう。

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