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ギガントアーム・スズカゼ 第七話 製作途中版①

この記事はギガントアーム・スズカゼ第七話の書き上がった最新分を掲載しているものです。
これまでの話は下記リンクから読めます。
https://kakuyomu.jp/works/16817139556247117561

◆ ◆ ◆

 ウォルタール内部、ギガントアーム格納庫。ハンガーに鎮座する日本刀形態のスズカゼ以外にも、並ぶ機体の姿があった。
 数は二。脚部と背部を固定具で固められているギガントアームの名は、グラウカ。ただし今まで戦闘した個体とは異なり、装甲はライトブルーを基調としたものになっている。
 よく見れば装備も違う。右腕と左足に銀色の装甲が追加されているのだ。
 そうした機体群を見下ろせる位置、格納庫の天井付近に、大きなガラス窓で繋がる部屋がある。各種整備や発進管制などを行う制御室だ。

「ふ、う」

 その一角。十数枚のホロモニタに囲まれながら、ウォルタール整備主任のマッツ・アリンは一息ついた。モニタに映るのは、全てギガントアーム・スズカゼの戦闘記録だ。

『アリン整備主任。アナタにギガントアーム・スズカゼのデータを預けます。あの機体は、まだまだ未調整な部分が多い。その辺を可能な限りアップデートして欲しいのです』

 つい数時間前。スズカゼのコクピットから降りるなり、ティルジット・ディナード四世はそう言ったものだ。これは要するに、戦闘準備である。

「まったく若も無茶を言いなさる」

 独りごちるマッツだが、しかし口端には笑みが浮かぶ。コクピットが開いた直後、ジットが見せた表情。あれ程楽しそうな若を見たのは、果たして何時ぶりだろうか。
 招かれざる客、ミスカ・フォーセル。
 異邦者、加藤一郎。
 認めたくはないが彼らがジットの計画と、何より心へするりと入り込んだのは、事実であった。
 それにしても、とマッツは窓越しに格納庫を見下ろす。ジット自身が色を指定したライトブルーのグラウカ・カスタムタイプ。それに用いる筈だった装備を、スズカゼは先の戦闘で使用した。腕部と脚部に現れた、増加装甲一体型のビームガンとパイルバンカーである。
 召喚武装というカテゴリに入るそれらの武器は、グラウカ・カスタムの腕部及び脚部にある銀色の部位――ハイブリッド・ミスリルを介して行われる。高い頑健さと魔力貯蔵能力を持つ魔法金属だからこそ出来る芸当だ。
 ウォルタールにはビームガンなどの他にも数々の召喚武装が搭載されており、これらを瞬時に切り替える事で高い適応力が発揮できる事を期待されていた。それが実証されたのは、しかし別の機体である上に召喚認証をエルガディア人へ渡したのはマッツにとって歯痒かったが――今重要なのは、そこではない。

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