この記事はギガントアーム・スズカゼ第五話の書き上がった最新分を掲載しているものです。
これまでの話は下記リンクから読めます。
https://kakuyomu.jp/works/16817139556247117561◆ ◆ ◆
現状のギガントアーム・ランバ、もといスズカゼは、ミスカによるシステム改変を施されている。ミスカの追加認証が無ければ、戦闘形態への可変が出来ないのだ。
「何の為に?」
「僕がスズカゼの操縦に参加する為だ」
「どうしてそんな事を?」
「答える前に、まず聞きたい」
「なんだよ持って回るな」
「またトーリス・ウォルトフが現れた時。あるいは彼以外の新たな敵が現れた時。同じように戦える覚悟が、キミにあるか?」
「それは、」
一郎は言葉に詰まった。無理もない。空手の心得があったとしても、ギガントアーム操縦適正があったとしても。
加藤一郎は、つい昨日まで地球で暮らす一般人だったのだ。
「先の戦闘は確かに見事だった。正直言うとスズカゼが動く直前まで、あのまま捕虜になる事も視野に入れていた」
「おっと。なんだかんだでそこまでは行かなかったとおもいますよー」
やんわりとしたジットの釘。ミスカは彼の目を一瞥する。
「だとしてもだ。あの時のキミの活躍には、大いに助けられた。ありがとう」
「お、おお。どういたしまし、て?」
「しかしだ。先の戦闘の際、キミは無我夢中だったな」
「え。いや、そりゃそうでしょ。初めての操縦だったし」
「地球の常識に照らし合わせれば、確かにそうだろう。だがスズカゼの行動ログを漁った所、面白いデータが見つかった」
「どんな」
「戦意高揚系魔法をパイロットへ行使した記録だ」
「戦意……やる気が満々になるって事?」
「そうだ。心当たりは?」
言われて、一郎は改めて拳を握る。
それが、スズカゼの鉄拳であると仮定して。
もう一度、立てるのか?
空手の試合とは何もかもが違う、戦場と言う場所に。
【――分かった。信じるよ、一郎】
一瞬。
脳裏。
昔。
遠い。
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思い出しかけたなにかを、一郎は自覚する前に忘れた。