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【だから、保険をかけさせて貰った】ギガントアーム・スズカゼ 第五話 製作途中版①【異世界転移】

この記事はギガントアーム・スズカゼ第五話の書き上がった最新分を掲載しているものです。
これまでの話は下記リンクから読めます。
https://kakuyomu.jp/works/16817139556247117561


◆ ◆ ◆


「オイオイ何でそんな面倒な事を……てか、俺しか動かせないの!? なんでそんな仕様に!?」

 忙しく表情が変わる一郎とは対照的に、ミスカは淡々と事実を述べる。

「さあな。その辺は製作者に聞くしかないが、どうあれ僕達としては都合が良かった」
「僕『達』? それ、俺もって事?」
「そうだ」

 ミスカは改めてジットを、アクンドラ陣営の者達を見やる。
 まず、第一に。理由は分からないが、ティルジット・ディナード四世を筆頭とするウォルタールの一団は、ギガントアーム・スズカゼ――もとい、ランバを制御する方法を探していた。そしてつい昨日、曲がりなりにもそれが手に入った。
 では、第二に。次はどうするか? 決まっている。制御を確実にする方法だ。
 必然、焦点が向けられるのは正規パイロット登録された異世界人、加藤一郎の立ち位置である。
 一郎の思いがけないギガントアーム適正の高さは、先日確かに実証された。一郎自身の善性も、ミスカは良く知っている。適切に事情を説明すれば、少なくとも地球へ帰るまではどうにか戦ってくれるだろう。
 だがギガントアーム・ランバの力を切望していたアクンドラ人達から見れば、どうか。彼等に必要なのはエルガディア魔導国の暴挙を止め、世界を元に戻すまでが目的の筈だ。そうしなければアクンドラの国体が持たない。
 而して、今。その要となるギガントアーム・ランバは今どうなっている?

「何? 俺が乗ってるのが、そんなにマズいワケ?」
「ああ、色々とな」

 地球人、加藤一郎。彼がアクンドラ共和国の、ひいてはイーヴ・ラウスの為に戦う動機を、ミスカは見つけられない。増してや彼は、意図せず異世界へ放り出された被害者とあっては。

「だから、保険をかけさせて貰った」

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