この記事はギガントアーム・スズカゼ第4話の書き上がった最新分を掲載しているものです。
これまでの話は下記リンクから読めます。
https://kakuyomu.jp/works/16817139556247117561◆ ◆ ◆
「そんな、バカな」
絞り出す一郎。対するジットは、真顔で首を振った。
「そう言えれば良かったんですけどねえ。色々な要件が重なって、エルガディア魔導国の世界征服は驚くほどスムーズに進んでいましてねえ。特にそれを成す最大の原動力となったのが、武器の形状変形する新型のギガントアームです」
「それって、つまり」
「そう。ギガントアーム・ランバ……今はスズカゼだったか? と同型の機構を備える五体の特別機。それの仕業で、イーヴ・ラウスは酷い有様になっとるのよ」
そういって、マッツは椅子にもたれた。
「具体的、には?」
「そうですね、衛星画像を見た方が早いでしょう。アルグ、映してください」
「仰せのままに」
「衛星あんのかよこの世界」
一郎がツッコむ傍ら、アルグは懐から取り出したプレートを操作。大机の中央へ大きな立体映像が出現。
「……? 何?」
サッカーボール。目にした瞬間、一郎はそう判断した。
だが違う。確かに巨大な半透明球体の上に、六角形の模様が張り付いている。そもそも六角形はサッカーボールと違って離れている。
数えると、六角形は全部で五つ。更によくよく見れば、全ての六角形は頂点部分から一本、光の線が伸びている。試しにその線を一本目で追っていけば、球体の上部にある一本の棒に辿り着く事が分かる。
不意に、一郎は気付いた。
つい最近、それと似たものを見た覚えがある事に。
「ひょっとしてさ。この、光の線に繋がってる棒が、エルガディアってとこ?」
「そうです。昨日、山の向こうに見えましたよね」
「山……」
と、言う事は、つまり。
視線を巡らす一郎。程無く見つける。エルガディアから少し離れた場所。球体の一角、白く変色している箇所。
エラーの類ではない。これは、位置を示しているのだ。つい昨日、一郎自身が迷い込んでしまった氷樹林の位置を。
そもそもジットは言っていたではないか。衛星画像を出して欲しいと。
「つまり、これが、異世界イーヴ・ラウスの姿……!?」
「そうです。衛星写真で捉えた通り、この巨大な六角形は本当に存在しています」