この記事はギガントアーム・スズカゼ第4話の書き上がった最新分を掲載しているものです。
これまでの話は下記リンクから読めます。
https://kakuyomu.jp/works/16817139556247117561◆ ◆ ◆
「そ、んな。どうやって? いやそもそも何の為に!?」
「さっきも言ったじゃろう? ランバの同型のせいで酷い事になっとると」
肩を竦めつつ、マッツは己のプレートを操作。球体地図上へデータを重ねる。
「およそ一年前。塔と化したエルガディアから、六機のギガントアームが放たれた。うち一体はどうした訳かつい最近まで眠りこけておった訳じゃが、他はまったくそんな事がなかった」
追加表示される幾枚ものホロモニタ。映るのは、どれも不明瞭な写真ばかり。それでも莫大な魔力の奔流や破壊の爪痕は、ありありと見て取れた。
「個体名はそれぞれシュトローヴェ、ファズゲイル、ブランケイド、ガルドラ、デュフォーン。世界各国に降り立った各ギガントアームは、まず手始めに破壊活動を行った。写真の通りにの」
「そして、如何なる方法なのか。各機は六角形のフィールドで世界を切り取り、エルガディア魔導国の世界征服を盤石のものにしようとしている……」
マッツの言を引き継ぎながら、ジットはミスカを見据える。
「……僕は、おおむねこのような情勢だと認識しています」
「そうだな、おおむね正しい。だが先程も言ったように、この状況はクーデター派による凶行だ。エルガディア魔導国政府筋に掛け合えば、大多数が否を唱えるだろう」
「カァ! 言うも言うたりよな!」
吐き捨てるマッツ。ミスカは表情を動かさない。
どころか、マッツへ敢えて水を向けた。
「そうだな、このままではずっと平行線だ。よろしくない。よって、こちらから切り出させていただく」
「えっまだ本題じゃなかったの」
「そりゃそうだろう。イーヴ・ラウスの話をするだけなら、加藤をこの場に呼ぶ必要はないからな」
「あー……釈然としないけど、成程。逆に俺が必要って事は、やっぱスズカゼ絡み?」
「そうですね。加えて此方の主メカニックであるマッツ・アリンが同席しているとあれば、まあ分かり切った事ですね」
「すみません俺はわかんないんですが」
小さく挙手する一郎を、ミスカは一瞥。すぐに視線を戻す。
「そうだな、なら端的に言おう。彼らはこのまま、スズカゼを用いて六角形の一つへ強襲をかけようとしている。その為に僕が邪魔なんだ」
「えっ? なんで?」
「ギガントアーム・スズカゼの起動システムは特殊なものでな。登録されたパイロットでなければ、動かす事が出来ない」
「そうなの!?」
「そうとも。そしてそのシステムへ、僕は少し割り込みをかけさせて貰った」
「どんな」
「簡単な話よ。加藤一郎だけでなく、ミスカ・フォーセルも居らねば動かんのさ。ギガントアーム・スズカゼはな」
会議が始まってからずっとしかめ面だった理由を、マッツはこの時ようやく吐き出した。