• 異世界ファンタジー
  • 現代ドラマ

『奴隷くん』200話到達記念SS!と絵

ごきげんよう!

拙作『奴隷くんのハッピ〜異世界ライフ』ですが、本日なんと200話到達です!

正直に言って、ここまで続けられるとは全く思っていませんでした。

これはご覧いただいている皆様のおかげに他なりません。いつもありがとうございます!!

というわけで、ささやかながらSSをご用意しました。

特にオチなどない、日常の断片のようなものですが、よろしければご覧ください。

そしてイラストもご用意いたしました。
これはSSとも200話ともまるで関係のないハルク&アウルの落書きですが、こちらもよろしければご覧ください。

いつも様々な形で応援いただき、ありがとうございます。本当に励みとなっています。


今後の更新ですが、200話までいったらお休みを週2回にしようと考えておりました。

今後、『毎週水曜日と日曜日』を更新のお休みの日にさせていただこうと思います。ホワイトな執筆環境のために、ご理解いただけましたら幸いです。

また、9月頃に『奴隷くん』の小話だけを集めた小説を立ち上げるつもりです。この記事のSSや、限定SSなどもそちらに少しずつ掲載していく予定です。

公開が決まりましたら、そちらのほうもどうぞよろしくお願いします。


……随分と前置きが長くなりました。

それでは、以下、SSとなっております。
お楽しみくださいませ。



***

200話記念SS『言葉あそび』





「じゃあアウル、やってごらん」

 微笑むリーダーに促され、俺は紙の束を握りしめて気合を入れた。


 今日は、リーダーに字を教えてもらっているのだが、趣向を変えてちょっとしたゲームをすることになった。

 ルールは簡単だ。

 居間の机に並べられた道具などのいろいろな品の前に、その名前が書かれた紙を置いていく。

 たったそれだけ。

 しかし、正解したらアキからおやつをもらえるのだ。めちゃくちゃ気合が入るな。

 単語カードの使い道をリーダーが考えた結果こうなった。楽しそうだし、実用的な字も覚えられるし、おやつももらえるし、いいことずくめだ。

 10個ほどの品を前に、リーダーが書いた紙を握りしめた。

 がんばるぞ。


 まず1枚目……読めるかな?『つぼ』かな。

 壺、あるな。

 俺は壺の前にその紙を置いた。

 順調、順調。いいぞ。

 次は……『湯呑み』、いや『コップ』だろうか。こちらの言語では呼び方が似ている。急に難易度が上がった。

 でも、置いてあるものの中でコップっぽいものはひとつだけだった。よかった、両方置いてあったら詰みだったな。

 さて、次は……?


 こうして、俺は『ハサミ』『晶石』『ポーチ』『薬瓶』といった単語を覚える事ができた。途中、ちょっと読みにくいものもあった。そういうやつは、消去法と勘で乗り切る。

 悩みつつ、全部の紙を置き終わって、リーダーに見てもらう。


「……うん、全部正解だ。よくできたね」

 リーダーはニコニコしながら俺の頭を撫でた。何とかなってよかったぜ。これでアキにおやつをもらえる。


「じゃあ、次は……この部屋にあるものに、この紙を置いていってごらん。出来たら、おやつを追加だよ」

 何!追加でもらえるのか。

 それは頑張らねば。

 また紙の束を渡される。さっきより多い。

 1枚目……『ダイン』?

 ダインいる?……巣にいるな。俺はダインのおなかの上に紙を乗せた。


「おい」

 ダインは何か文句を言いたそうだったが、聞き流した。落とさないでくれよ。

 次は、『椅子』……だと思う。

 しかし、居間には椅子がいくつもある。来客用のものを選んでそこに乗せた。

 次は『長椅子』。危ない危ない、『椅子』と似てるけどこちらは複数形なのだ。これも長椅子に乗せる。

 こんなふうに、居間にあるいろんな物や人に紙を乗せていった。

 居間をぐるぐる駆ける俺をリーダーが微笑ましく見守っていた。

 『アキ』『シュザ』といった人物名もある。これはすぐわかるぞ。


「あれ?ぐるぐる歩いてどうしたんだアウル」

 ノーヴェが薬草を握り締めながら居間に入ってきた。

 ちょうどいいところに!

 俺は椅子に座ったノーヴェの前に『ノーヴェ』の紙を置いた。


「え、何?」
「アウルは今、字の練習中だよ」
「字?ああ、なるほど。がんばれよ」

 困惑するノーヴェにリーダーが説明してくれた。みんな付き合ってくれて優しい。

 『ハルク』と書かれた紙もある。

 居間の端っこで武器を磨いているご主人の前に、その紙を置いた。

 うん、だいたい全部置けたかな。

 最後に1枚、手のひらの中に紙が残った。

 えーなになに。

 『よくできました。この紙をアキに見せると、おやつがもらえるよ』

 だって!

 俺は驚いてリーダーを見た。


「少し長いけど、読めたかな?」

 俺がうなずくと、リーダーもうなずいた。


「じゃあ、どうしたらいいかわかるね?」

 わかる!

 俺は厨房のアキのところへ急いで行き、紙を見せた。

 紙を見たアキは、うなずいてプリンのようなものが入った器を渡してくれた。

 プリン!

 それにさらに果物とカラメルみたいな色のソースを乗せる。

 そして、果物を絞ったジュース!

 やったー!

 俺はたぶん、満面の笑みだったと思う。

 こうして、俺は無事におやつを手に入れることができた。リーダーは人を動かすのが上手いな。

 テーブルに持っていって、報酬のおやつを食べた。

 おいしい!

 プリンを味わう俺の前に、リーダーは『アウル』と書かれた紙をそっと置いたのだった。うん、俺だ。

 これ、楽しいしおいしいので定期的にやってほしいです。

 クッションの山の中から「まだ動けねェのか……?」って声が聞こえてきた。

 む、ダインのこと放置してた。

 俺はダインのところへ行き、お腹に乗った紙を裏返して、そこに文字を書いてからまた置いた。

 じゃ、プリンを食べる作業に戻りますんで。


「なんだこりゃ……どうでもいい言葉覚えるんじゃねェよ」

 何か声がしたが、プリンを味わう俺の耳には入ってこなかった。

 のちに紙は回収され、俺の単語カードに加わった。

 『ダイン』のカードだけ、裏に下手な字で『やわらかい』って書いてあるのだった。



(おしまい)

***


以下イラストです。
うわあ!ってなってるアウルと、平気平気ってかんじのご主人です。いろいろ難しくて2ヶ月ほど描き直しまくったらくがきです。

イメージ大丈夫だぜ!という方、どうぞ。


ここまでご覧いただき、ありがとうございます!

***

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する