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備忘録14(ライナーノーツ的な 2021年11月)

11月の作品メモ。
興味のある人はいないと思うが、あとから自分で「あん時そんなこと考えてたのかー」と思い返すのは割と楽しいものだ。

【雪下出麦-ゆきわたりてむぎいづる-】#1~4
書き始めたのが去年の12月頃だから、書くのに一年ぐらいかかった作品。
といってもずっと書いていたわけではなく、六割ぐらいはすぐに書いたものの、残りの部分でどうしたものかと悩みはじめてさっぱり進まなくなり、この夏ぐらいからようやく少しずつ再開してなんとか形になったもの。
当初は雪をテーマにした自主企画用に書き始めたもので、構想段階ではストーリーも全然違う物だった。
その後大人の恋を書きたいと思って始めたものだが、なんか書き始めた頃よりも時間が経った今の方が書くのにしっくりくる気がしている。
雪の匂いというのは北国育ちの人ならば共感してもらえると(勝手に)思っているのだが、登場人物が語っているようにその感覚を説明するのは難しい。でもまあ、ほんとにあるんですよ。
タイトルは元々は七十二候からとった仮タイトルで、正式なものをあとで決めようと思っていたが書いてるうちに「内容的にこれでいいんじゃね?」と思い直し、そのまま正式なタイトルとした。
しかしほんとは作中の設定に合うのはもう少し前の季節なのだが、熊蟄穴(くまあなにこもる)とか今ひとつエレガントさに欠けるものが多かったので、一番字面と語感が綺麗なこれを選択した。


【年の夜に香る湯気の向こうで君が】

「赤いきつね」「緑のたぬき」幸せしみるショートストーリーコンテスト用に書いたもの。
開催の二週間前くらいには初稿は書いて後はずっと推敲していた。
なぜそんなに早くから用意していたかと言えば、コンテスト開始と同時に公開するため。
テーマと条件的に、年越しそばやお金がない若い二人……みたいなプロットの作品が被るのは明らかなので、「パクったんじゃないですよ」と主張したかったというのがあった。
1980年を舞台にしたのはちょうど緑のたぬきの発売の年で、ケータイもコンビニもない時代だったから。
二人が緑のたぬきを食べる必然性と、未知の食べ物(というと語弊があるが)を食べる新鮮さを入れ込みたかった。
ただ、物語の設定日が明確になりすぎたため、可能な限り現実の当時の様子を描写するのに結構調べることが多くなった。(その時の夜の東京は快晴で、月齢は新月に近かった、みたいな)
そして、匂いや食べた感じを確認するために普段はあまり食べないカップ麺を二週間で二つも食べてしまったのだが、くどくなると思って結局そんなには作中に反映していない(体重には反映されたかもしれない)。
書き始めた時の仮タイトルは「大晦日の夜」だったのだが、本タイトルを決めるときに「大晦日」という直接的な言葉は使いたくないなと思い調べてみると、「年の夜」という言い方があると知り、そこが決まった瞬間に後ろの部分は三十秒くらいで決まった。

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