上司は言った。
「おまえは、こんな簡単なこともできないのか!」
ここは、死神の世界。
そこでU氏は上司に怒られていた。
「だって、かわいそうじゃないですか。人の命はかけがえのないものですよ。」
「お前は何もわかっていないな!いいか、人は多くの生き物を殺し、海を汚し、山を消滅させるとてつもない大罪人なんだぞ。そんな人間に配慮するな!」
U氏は、反論はできなかった。
たしかに、人は多くの生き物を食べて暮らしている。でも、それを言ったら、ほかの生き物だって同じじゃないか。他の生き物を食べて生きるのが生命なんだから。
U氏は反省をして、席に戻る。
そこにK氏が現れる。
「また、怒られたのか。U」
「そうなんですよ。保留で提出してしまって。」
「何事もほどほどにしておかないとダメだぞ。そうしないと死神界のバランスがとれなくなる。」
「そうですね。気を付けます。」
K氏との会話の最中に上司の呼び出しが来た。
「おい、U。次の診断者だ。こいつを観察してこい。」
U氏は渡されたファイルをみた。そのファイルには赤石由紀という名前と顔写真が載っていた。
「了解です。」
U氏はさっそく、赤石由紀のもとに行くことにした。