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『歴めろ。』第九十二話のうんちくコーナー

●新庄めぐみのうんちく

 皆様、お久しぶりです。お元気でしたでしょうか?

 日本史が苦手な奴が何でこのコーナーに? とか思ってるでしょ。確かに暗記は苦手でテストの点数は最悪だけど。。。。歴史は嫌いではないわよ、多分。。。。

 今回は以仁王が逃亡する時間を稼ぐため、三条高倉館を死守した長谷部(はせべ)信連(のぶつら)についてお話ししたいと思います。
 長谷部信連は遠江<現:静岡県>の国人で滝口武士です。本文でも出た工藤祐経と同僚ですね。『山槐記』によると、
 『……皆閇門、無答之人、仍光長令踏開高倉面小門之間、左衛門尉信連射之、被庇者有両三人……』
 意訳すると、……門は全て閉められており、応じる者はいない。源光長が屋敷に押し入る命令を下し、門を壊している時、長谷部信連が光長に射掛けた。それを庇い倒れたものが二・三人いた……

 ということで、完全に籠城(ろうじょう)戦ですよね。大いに奮戦(ふんせん)しますが、結局多勢に無勢で検非違使の兵が高倉邸に攻め入ります。その様子が、

 『……宮不御坐、早以遁出給畢云々。今夜猶武士圍之、女房等裸形東西馳走、可悲々々……』

 以仁王のお姿はなく、既に逃げ去った後だった。それでも一晩中武士は館を荒し、女房達は裸で逃げ回っていた。悲しいことだ……

 ゆ、許せないわッ!!……でも、そういう時代だったということなのね。恐らく八条院御所でも同じようなことが起きる可能性があったので、頼盛の妻が機転を利かせて、暲子内親王と女房達を逃がしたのね。
 長谷部信連はその後、平家に捕まり伯耆(ほうき)国<現:鳥取県中部>に流罪になりますが、平家滅亡後は源頼朝より恩賞を頂き、能登国の国人となります。
 現在でも、ゆかりの地・石川県穴水町では信連を偲(しの)び、『長谷部まつり』が行われているのです。

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