俺は２０代の姿を持つ、６０歳の男。いつの時代の外見にもなれる俺は、賽の河原から過去へ飛ぶ。 　死神に言われたとおり、死なずに済む分岐点を探して、過去を変えるために。

闇の探偵は、どこから来てどこへ行くのか？何のために、誰のために動くのか？全ての原点は、昭和の仁侠社会にあった。

『闇の探偵』とも呼ばれる彼は、世界一有能な探偵と自負している。彼は依頼を受けると、たちどころに最善の解決に導いてしまう。しかしそれは、卓越した推理力ゆえではない。なぜか？

誘拐された暴力団組長の娘を助けに現れたのは、ヴァンパイアを自称する男だった。

　昭和４０年代。南渡鹿（なんとか）集落で皆殺しの惨劇が起こった。被害者遺族である県議会議員と、事件の有力な手がかりをつかめない県警本部長は、『闇の探偵』に事件の解決を依頼した。