最近読んだ本2冊
一冊は、柚木麻子著「BUTTER」
この小説は、イギリスでベストセラーになったということで、どういうものか読んでみました。
主人公は、週刊誌の記者をしている女性で、婚活連続殺人の容疑者である女を取材しているうちに、どんどんその女の世界に引きずり込まれ、やがて自分の食の嗜好や人間関係などにも影響を受けてゆくというストーリーで、心理描写やストーリーの構成なども読むものを飽きさせない工夫がされていて、なかなか読みごたえがありました。
もう一冊は、村上春樹著「夏帆」
言わずと知れた村上春樹で、読んだ方も多いかもしれません。
主人公は、やはり女性の、童話作家ということに設定されています。彼女のもとに、アリクイの夫婦の奥さんの方が現れ、ブラジルからきた彼ら夫婦を追って、凶暴なジャガーがやってきたので、退治してほしいという話になります。夏帆はこれを何とか退治しますが、そののち、彼女の母親が、やはりブラジルからやってきたシロアリの女王に体を乗っ取られてしまったという話になり、何とかしてこのシロアリの女王を母親から取り除かなければならない、という話になります。この、奇妙な現実の話を、夏帆は自分の童話のストーリーへと置き換えてゆく、という、ストーリーの中にストーリーがある、という構成になっています。
これは、おそらく村上自身の小説の作法を、ストーリーを通して読者に開示して見せたのでしょう。その意味では、勉強になる一作でした。ただ、ストーリーの伏線の回収があまり納得のいく形でされていないという恨みが多少あるかな、という気がしないでもありません。