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平安京の素顔を探る―「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕え或ハ近衛大将ノ大詐術」の「十九」を投稿しました!

平安ファンタジー小説「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕え或ハ近衛大将ノ大詐術」の「十九 翠令、街へ出る」を投稿しました!

https://kakuyomu.jp/works/16816927860647624393/episodes/16816927860825918111

この平安ファンタジーを書き始めるにあたって、割と最初の頃に購入した資料本に、風俗博物館が出している「源氏物語と京都 六條院へ出かけよう」というものがあります。

↓今回はその本の表紙の写真を掲載しております。
(この本については風俗博物館のサイトに説明があります。https://www.iz2.or.jp/info/hon.html

2004年?に行われた京都文化博物館での展示内容に加筆したものだとか。
カラー写真満載で、平安時代の風俗が事細かく取り上げられており、資料として大変使いでのある本です。

ちなみに。この本で平安装束を纏って再現画像でポーズをとっている男性女性の皆さん、特にモデルを雇ったわけではなく、風俗博物館の職員だと小耳にはさんだ気がします。
もしこれが私の記憶違いでなくて事実であれば、なんて羨ましい職場なのでしょう!

そう言えば、私が訪問した時の受付のおばさまもどことなく上品な方でした……。

閑話休題。

この本によると、平安京では、大内裏の東側に、修理職や近衛府などの工房や倉庫、宿が並ぶ「官衙町」「諸司廚町」があったそうです。

以下は引用部分です。「源氏物語と京都 六條院へ出かけよう」148頁

”大内裏の中には多数の役所が密集していた。しかし、そうした役所が、大内裏の中だけですべての職務を全うできたわけではな い。役所の中には、修理職のように「現業部門」を所属させているものもあったし、また近衛府や衛門府のように多数の雇員を抱えているものもあった。そうした役所は、大内裏の外側に工房、倉庫、宿所などを置いていたのである。これを「官衙町」または「諸司厨町」と呼んでいる。これらは特に、大内裏の 東側に隣接する左京北辺・一条・二条の二・ 三坊に集中しており、平安京ならではの特異な都市空間を形作っていたのである”

拙作の今回「十九」で、姫宮と翠令が物珍しく眺めているのがこういった風景です。
柱や瓦を抱えた男たちが行き来している様子とか、非番の近衛達が遊びに繰り出そうとしているとかの描写は私の想像です。

翠令達と一緒に、平安京の「取り澄ました顔」以外の街の様子もお楽しみいただければと思います。

次は市に到着します。
それから佳卓の美技も見られます。

どうぞ今後もご愛読賜りますよう……。


風俗博物館 https://www.iz2.or.jp/
「源氏物語と京都 六條院へ出かけよう」 風俗博物館(旧Webサイトに掲載)
https://www.iz2.or.jp/info/hon.html

2件のコメント

  • >柱や瓦を抱えた男たちが行き来している様子とか、非番の近衛達が遊びに繰り出そうとしているとかの描写は私の想像です。

    こういう想像ができる力。そしてそれを適切に文章化できる力。これが作品に与えるリアリティであり、書き手の筆力の高さなのだと強く感じます。
    自分も見習いたいものですm(_ _)m
  • 何気なく書いたものですのに、過分なお褒めをいただきまして恐縮です……。中華ファンタジー資料でご紹介した『長安の春』など、歴史学者さまがまるで見て来たかのような文章を書かれていますので、それの影響かもしれません。

    ↑ふと思い出して『六條院に出かけよう』を確認すると、修理職について「職人たちが材木を削ったり、瓦を倉庫に運び込んだりしている賑やかな声が聞こえてくるだろう」という文章がありますので(148ページ)、それを膨らませたものです。
    この文言は書き手の想像で、史実がそのまま客観的に述べられているわけではないので、近況ノートでは史資料としてはご紹介してなかったですね……。
    ほかにも繫田信一さんの著作などもベースになっているかと思います。
    (もちろんそのまま文章を使ってはおりませんが……)。
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