※前の投稿を読んで頂いた方々、文字数制限で最後の話が途切れてましたスミマセン
という訳でそこの話だけココに上げ直しました
■グッドナイト06/自慢したい
セックス中以外では滅多に動かない凶相が、その眉が悩ましげに歪んだのだ。
普通の人間なら殺されると思うだろう、しかし彼女にとっては。
(とってもセクシー……!! きゃーっ! 柏木先生どこまでアタシをきゅんきゅんさせちゃうのぉ!? あーだめだめ、こーれはキュン死しちゃう。やはりここはセクシー姿のお礼としてお弁当を作らないと…………)
でも。
(…………重い、って思われないかな。図々しいやつって、体だけの関係なんだから勘違いするなって)
城井椿は恋する純情ギャルである、金髪巨乳ドスケベギャルであるが中身は純情可憐な乙女なのだ。
好きな人に拒絶されたら、そう思ってしまうことがある、不安になってしまう。
――彼女がそんな風になっているなど冬八は露程にも思わず。
(俺はどうしたらいいんだッッッ、どんどん女の子の手料理が食いたくなってきた……くそっ、セックスして腹減らなきゃ忘れたままだったのにっ! 責任は取って貰うぞ城井いいいいいいいいい!!!)
出来るなら彼女が察して申し出てくるのが彼にとって一番であったが、六つに割れた自慢の腹がぐぅぐぅと鳴り出し続けているなら些細な事。
問題は頼んだが断られること、対価を要求してくるなら今回ばかりはある程度譲歩する構えだ。
そう意を決して椿を見ると。
(――――あれ? これイケるんじゃないか? なんかしおらしいぞ?? ……よく分からんが今がつけいる時ッッッ!)
冬八は開いている右手を動かし、彼女の手を取った。
彼女のびくんと華奢な肩が震え、驚いたように青い目が大きく丸くなる。
彼は安心させるようにニコリと笑ったつもりだが、相も変わらず凶相は動かず。
「頼みがある、是非とも聞いて欲しい城井……」
「ぇ、ぅ、せ、センセ?」
「お前の手料理が食いたい、明日でも明後日でもいい――手作り弁当を俺にくれ」
「ッッッ!?」
「頼むっ! 俺も女の子の手料理が食いたいんだ! アイツら遊日の手料理美味かったって自慢してくんだよ、俺も自慢しかえしたいんだ、だから…………頼む、俺にお前のメシを食わせてくれ!!」
「~~~っ、うんっ!! わかった作る!! 愛情こめて柏木先生の為に作っちゃうぅ!!!」
「っ、しゃあ!!!」
表情では分からないが冬八は感激して心の中でガッツポーズ、見てろよアイツらと鼻息荒く期待に満ちている。
椿といえば彼をぎゅっと抱きしめ、数学教師の癖に鍛え上げられた逞しい胸板に頬ずり、たわわな巨乳がぎゅっと押し潰れている。
そして目尻に少しだけ涙、感動しているのだ。
(そんなセンセ……アタシのキモチ気づいて言ってくれた。バカみたいな理由を態々作ってくれてアタシを安心してくれて……うぅ~~、これ以上アタシの心を堕としてどーすんのよぉ!!)
もし一人の時だったら、思わず足をジタバタさせ大声で喜んで居ただろう。
今すぐ親友の梨理に歓喜のメッセージを送って自慢した後、通話して数時間は惚気話を聞いて欲しい。
(……リリには相手が誰かまだナイショだもんね、念のために手料理のことは言えないかぁ)
はふぅ、と幸せな溜息をひとつ、幸せな夢を見ながら寝れそうと椿は瞼を閉じるが。
「――ああっ、思い出したぁ!!」
「あん? どーしたよ城井」
「大変だよセンセっ! アタシ聞いちゃったの、明日の放課後に倉地先生と月夏先生がリリを巡って決闘するって!!」
「…………毎度のコトだろ、毎度になってんのがアレだが」
「そうじゃなくて、その隙を狙って嵯山先生がリリを監禁する計画してて、そのメモを拾っちゃって……」
「――――あんのバカ野郎ども何考えてんだよ!!!! 何でアイツら悪ガキだった高校の時のノリでアホなことすんだよ、月夏が抜け駆けして未亡人とデートしようとした時も教室ぶっこわれる騒ぎになったろうが!!!」
「センセ達の学生自体に興味しかないんだけどぉ???」
「ったくよぉ、明日学校に行く前にウタ……嵯山のヤツをぶん殴ってオウジとビジンに三人でスマブラ勝負にするよう言っておくから安心しとけ」
「あ、うん(幼馴染みで学生時代もずっと一緒の親友同士って前に聞いたけど、プライベートでは名前で呼んでるんだぁ……)」
冬八の新たな一面を知ってほっこりする椿であったが、兎にも角にも。
やがてすぐに、今宵も仲良くすやすや寝たのであった。
※没理由
リアルが忙しくて執筆意欲が途切れた為
※復帰作として書きやすいプロットにした為に、ワンチャン続きを書くかも
※それはそれとして、もっとドタバタしたラブコメが書きたくてプロット練り練りしてる今日このごろです