若槻きいろ

　仕事を辞めた。夢も、諦めた。 　だからこれは、傷心旅行。 　また歯車として機能するための、いっときの猶予。 　輪郭を失った私を取り戻すための時間。 　5年前のコミティアで配…

「願い事を言うと叶えてくれるんだって」 　中高生の間で流行っている、遊びみたいなおまじない。実際遊びなのだろう。誰も本気にはしない。　 およそ8年前（暫定）の産物。春めいた気候…

注意：終始鬱々とした展開になります。ご注意下さい。 終わりは始まりのごとく… 原文・終わりの始まり＝なんらかの本題が終わった後に、別の事柄が始まる事。 終わり＝終焉・絶望・全滅…

タバコには色々な臭いと味があるのだと知ったのは、その男からだった。 確か、その日もあたしとそいつは安っぽい、そして狭っ苦しい一つの布団を共有して、二人だけの、玩具箱みたいな世界…

　夕顔を見よう、と貴方は言った。八月最後の週末だった。 短編集『灰色の水槽、ラムネの町で』より 5月29日　東京文学フリマ　ウー20 若草屋にて頒布してます。

2月20日　コミティア139　にて頒布予定の短編集より。

３００字ｓｓに投降したものを加筆しました。

altra volta.　　音楽用語。もう一度

　花が咲く、と祖父は言っていた。 　その場に、その空気に。厳かにして密やかな、誰にも手折られてはいけない花が。 　ひとたび風が吹けば、新緑の髪がはらはらと揺れて視界いっぱいに広が…

　Twitterでの企画、ぷちへき企画より。 　あぁ、君はいってしまうんだね。君の世界で僕は脇役でしかないから。君の求めるままに、ならなかったこの世界で、君は死を刻むのだ。

童話というか、砂漠地帯をふんわり舞台にした神様ちっくな女の子の話。

17/10/18 中編 加筆修正