• 異世界ファンタジー

ネバーギブアップの最新話を公開しました

ネバーギブアップ~普通そこは主人公に転生でしょ~

の第26話を公開しました。

どうぞよろしくお願いいたします。


皆様、これからもアリアの頑張りを

見守ってあげて下さい。


それでは、また次回お会いしましょう。




























「・・・・・」

アリアが、静かにシオンの顔色を窺う。

アリアに気付いたシオンが優しく微笑んだ。

だが、その微笑みが怖いものに思えて、

アリアが身体を震わせた。

アリアは、震えながら精一杯の頑張りで

シオンに訊ねた。

「ねぇ、シオン。まだ、怒ってる?」

「いいえ、いいえ。うふふ」

アリアは、顔を蒼く染めた。

しかし、シオンは、そんな怯えた姿も

可愛らしいと微笑みを浮かべていた。

シオンは、すでにアリアを許していたが、

もう少し、可愛く怯えたアリアが見たいので

笑うだけで、何も答えなかった。

「ごめんなさい、シオン」

まだ怒っていると思い込んでいるアリアが

小さく謝った。

(落ち込んだお嬢様も、お可愛らしい。

 もう少し、楽しみましょうか)

笑いが零れそうになる口を必死に閉じて、

アリアを見つめる。

アリアは、微かに震えるシオンの口を見て

まだ、怒っていると更に思い込んでいく。

「ごめんね、シオン。今度からは、気を付けるから

 許してください」

アリアの瞳が、幽かに濡れる。

シオンが慌てて、アリアに声を掛けた。

「お嬢様、落ち着いてください。シオンは

 怒っておりませんから。もう、アリアお嬢様を

 叱ろうとは考えておりませんから、落ち着いて

 下さい」

「本当に?」

「勿論でございます」

先程よりも濡れた瞳でアリアがシオンを見つめる。

シオンが我慢できずにアリアを抱きしめた。

アリアに笑みが戻った。そして、シオンを見上げ、

一言呟いた。

「シオン」

アリアは、シオンに微笑みかけた後、恥ずかしくなり

顔を胸に埋めた。

あまりの可愛さに、シオンが思わずポロリと本音を零した。

「ああ!アリアお嬢様可愛いです!本当は全然怒っていないのに

 どんどんと勘違いして、打ち萎れていくお嬢様が愛おしくて

 たまりません。もう少し、怒っている素振りで

 過ごすのも良いですかね。ウフフ!!」

それを聞いたアリアが、呆然として胸から顔を上げて

シオンを見つめた。

それで、自分の失敗にシオンが気づいた。

「あ!!」

シオンが零した声で我に返ったアリアが、シオンに代わって

ニッコリと微笑んだ。

そして、明るくて華やかな雰囲気で、

少し険を含む声音でシオンに問いかけた。

「どういう意味ですか、シオン?わたくしが、落ち込んでいる

 姿がそんなに楽しかったですか、シオン?」

アリアが、スッとシオンの胸から離れていく。

あああああ、と嘆きながらシオンがアリアの去った寂しい胸元を

見つめた。

「シオンなんて、嫌いです!大っ嫌いです!!」

シオンが絶望した表情でアリアを呆然と見つめる。

「ふん」

アリアが、去って行ってしまった。

「ああ、お嬢様。お願いです、見捨てないで下さい。

 シオンを許してください」

シオンの慌てふためく姿と声に、やっと胸がすいて

アリアが小さく内心で呟いた。

(わたくしを弄んだ罰ですよ。精々、反省なさい)

アリアは「後生です!!お許しを!!アリアお嬢様!!」

と、後ろから悲壮に満ちた表情で必死に哀願する

シオンが可笑しくて、少しだけ笑った。

「わたくしも楽しませてもらいますよ、シオン」

ひっそりと呟いた。


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