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数字を追うな的なナニカ

「2024年も残すところ2週間となりました」的な言葉をニュースか何かの冒頭で聞くと、ちょっぴり切なくなるというより、「げっ!」って感じで時間の経つことの早さに焦る卯月です。

たしかに、カクヨムコン真っ只中で、お忙しい時。

だからこその自分の「書くこと」に対して一度立ち止まって向かい合うというのも大切ではないかと思ってみたり。

集客数とか売上数字とか(家計とか、学校の成績の数値とかでもよいです)って、メインの生活の方でうんざりするほど追いかけて、みなさん日々過ごされておられるかと思いますけど。(楽しくやっている)カクヨムまで似たようなことになるのもな……、なんてふと思うわけでして(そりゃ、卯月もカクヨム的な数字が良くなるのは嬉しいものですけど)。

それで、心が荒まないようにしなきゃって。

以前、どっかの何かで見たんですけど「数字を追うな、スジを追え」だったかな。そんなこと言ってるのを見た気がありまして、ほぅ、って感心した記憶が。

まあ、そんなことはいいとして。

まだ残っていた、いつもの荒木本のやつメモっておこうというだけの近況ノートっす。


最近読んだ本からの気づき的なモノ 「荒木飛呂彦の漫画術」⑧

「基本四大構造」の最後は「テーマ」について。

作品のテーマってやつですね。国語なんかで読み取らされるアレです。小説を書かれる時みなさんは意識されているものなのでしょうか?

荒木先生はこの「基本四大構造」において、
「『キャラクター』『世界観』『ストーリー』を統括し、なおかつ、つなぐものが『テーマ』」だと言っています。

分野を問わず、名作と呼ばれるものには、その背後に必ず強力な「テーマ」が存在するのだと。「テーマ」はストレートに表現されるものではなく、言ってみれば「影のリーダー」的な存在なのだと。

本書では、「アナと雪の女王」「蟲師」をとりあげて説明しています。

「『テーマ』とはつまり、作者の物の考え方であり、自分がどう生きるべきか、ということです。それを作品の根元に据えて、ぐらつかないように心がけます」

この「テーマ」がぐらつくと、作品は破綻します。

そうしないためには、「『俺はこれを描くんだ』という『テーマ』をきちんと心に決めるしかありません」と荒木先生は言います。

これができるかは、自分のテーマ(考え方・生き方)をどれだけ強く信じられるかにかかっていて、まだ人生経験が浅い人には難しいかもしれない、とも言っています。

(こういった人生経験がっていうくだりは、必ずしも年がいっていればいいってことではないことに注意っす。まあ、年を取ると嫌なこともたくさん経験済みだし、頑固にもなるし……、でもそれってさ、みたいな)

「テーマ」は時代によっても変化しうる。

「何を描きたいのか」という目的は千差万別。

同じ目的であっても、作者ごとの考え方は同じとはいえないので、表現は違ってくる。

本書では「エロスとは何か」について出てきます。(気になるでしょ? 本書を読みましょう。でも2ページ程度)

あと、『ジョジョ』の「テーマ」をご自分で仰られています。

それは「人間讃歌」。つまり「人間は素晴らしい」という前向きな肯定。何かの困難に遭ったとき、それを解決し、道を切り拓いていくのは人間の自らの力。都合の良い偶然はけっして起こらない。

たしかにそうでしたね。だからこそ『ジョジョ』には魅力がありました。

でも、このテーマである「人間讃歌」は荒木先生自身、深く考え抜いて出てきたものではなく、(もともとは)軽い気持ちで使った言葉から、このテーマで長年描いていくことで深まったということを書かれています。

「売れるテーマ」から考えるのは間違い。

「テーマ」を決めるときに絶対にやってはいけないこととして、(自分ではたいして興味がないのに)世間に合わせて「テーマ」を設定することだと言っています。

「『何を描きたいか』『なぜ描くのか』ということは、漫画家にとって根本的な、一番大事なこと」

小説も同じですね。テンプレでもそれを心から書きたいのであればアリですけど、PVが~、評価が~、なんてのは(漫画だと)せいぜいもって三年(小説はそれより長いのか短いのか?)。それ以降は惰性でやっているのを読者にも気づかれてしまうって言ってます。

最後に荒木先生は言っています。

「自分が興味を持っていて、自分の心の深いところや人生に関わるものであれば、それが仮に暗いテーマで売れそうにないと思えたとしても、やはりそれを描こうと決意すべきだと考えます。ヒットするかどうかに重要なのは、必ずしも売れそうな『テーマ』ではありません。自分が『これだ』と思うテーマならどんな『テーマ』であっても、作者自身の心を打つ『キャラクター』や『ストーリー』にのせていけば、絶対に受け入れられるはずです」

本当に勇気づけられる言葉だと思います。

この本は漫画家になりたい人に向けて書かれたものですが、小説においても通用する内容でした。こういった本というのは、便利な徳をする知識を得るつもりで一読しても上手くいかないタイプのものだと思います。手にとって何度も、折に触れて繰り返し読み続けるしか、自分の中に取り込むことはできないでしょう。

カクヨムにも数字のほうではない、優れた「創作」論がいくつもある(はず)。それについても気に入ったものがあるならば、繰り返し反復して記憶するくらい読み込まれることをオススメします(それに耐えうるものがあれば)。

荒木本による気づきメモは今回で最終回となります。


クリスマスな曲 その11
ぽかぽかの星 / はるまきごはん feat.初音ミク【SNOW MIKU 2020】
https://www.youtube.com/watch?v=LxC0kD-GuBQ


では。

3件のコメント

  • いやぁ、アラーキーは本当にイイことを言いますねぇ(●´ω`●)
    流石🌟
    結局のところ、根本的には自身の「モチベ」だとも思います( *´艸`)
    テーマ的にも「定評」したくないことを口八丁手八丁で言っていても、必ずは「そこの心在らず」となり、それが「表現」として出てきますし敏感な人ならその点すらも感じますしね(;^ω^)
    信じてもいない宗教に属して祈っている、ようなもので無意味と化しますしww
    金儲けが好きでそこに熱意を持ったとしても、それすら滲み出ては多くの読者を失うだけの逆プロモーションでしか無いですしww

    半端な「秀才」が、まだまだ日本でも多いってことですね(●´ω`●)
  • おお、はるまきごはんさんだ。ちょっと嬉しいです。

    >軽い気持ちで使った言葉から、このテーマで長年描いていくことで深まった

    この荒木さんの緩い感じのエピソード好きです。でも始まりはゆるっと始まっても、それだけたくさん考えたから深まっていったのでしょうね。創作活動も人生経験の一環と考えると、長編のテーマ選びって大事ですよね。
  • 白銀比 さま
    dede さま

    コメントありがとうございます。

    この「テーマ」、作者さまの「考え方・生き方」によるところが大きく、意図的に「みせる」ものと、書かれたものに自然とにじみ出てくるものがあるように思います。その部分では、もう一冊取り上げている「センスの哲学」の「リズム」なんかがにじみ出るほうかも、って思ったりいましています。

    はるまきごはん さんの『ぽかぽかの星』は、とても久しぶりに聴いたのですが、温かい曲それを通り過ぎてもう、卯月の心を揺さぶり過ぎ。もうヤバいくらいにリピートしてます。この曲からのインスピレーションで短編一作書きたいって衝動が……。おおぅ、いつまで経っても新しい長編に手をつけられないっす。
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