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物語の勢い。ある程度、アラはあってもいいのか。

昨日も昨日とて一日中、小説を執筆していました。え、お前は暇人なのかって?女の子とデートとかしないのか?

くわぁせfjikkmfapofmae;


はい、こんにちは。卓と言います。ニートです。というわけでデートは無理です。

で、昨日は執筆しましたが、いっさい最新話を投稿しませんでした。しかも、結論から言うと、丸一日無駄にしました。今の連載を最初から見直すべきか迷って、リテイクした内容を書いていたのですが、うーんなんか違うな、と。

たしかに、リテイクは内容的にアラは減った。レティたちのアイドルグループがそれほどネットで人気ではないように修正したり、ピポーテ(主人公)がリバティ社に出向するなどの内容にして、自然に物語を導入できました。でもね、なにか味気ない。理由はいくつか考えられます。

ちなみに、あとで供養の意味で、リテイクした小説を置いておきます。これ以上、リテイクを書くつもりはないです。


1 物語の余白がない
リテイクでは僕なりに、ギュッと詰め込んだ分、物語の余白・余韻と言うべきものが欠けた気がします。(気のせいだったら恥ずかしい)

2 勢いが足らない
正直に言って、毎回思いつきで書いてました。リテイクでは4つのプロットを作成し、最終的に1つに合流する計画を立てました。それ自体は良かったです。ただ、まだリテイク2話の途中なんですが、ストーリーの勢いや迫力が足らない気がしました。僕としても、書いていて少し面白くない気がしています。つまり計画を立てて、アラをなくして始めた分、なにか自由な感じが消えたんです。

3 これまで読んでくれた方にもう一度はちょっと
根本的な問題です。リテイクを公開するとなると、また初めからになります。これは良くない。読んでる方にとっては、てめぇの事情なんか知らん、というところは多分にあるはずです。


結論 今の連載を継続!

はい。そういうわけで今、続けてきた連載を今後も続けます。設定が若干、破綻しているところは、すみません。大目に見てください。




では、さっそくここからはリテイクした小説をこの場所からぶちこみたいと思います。悔し涙と供養とまた連載に戻れる喜び。

もしよかったら、感想をコメント欄にお願いします。



(以下、文章)

アイドルグループ☆☆☆XXX。それは、六人の美女たちによるネットアイドルグループだった。彼女たちは、目元を隠す小綺麗なベネチアンマスクを付けている。

しかも六人とも探索者だった。

彼女たちは可愛い、カッコいい、面白いと三拍子揃っている。この子たちは、すでにネット上で知名度を獲得し、ある程度の人気があった。







ところで探索者とは、ダンジョンで戦闘、資源採集をする人々のことだ。

ダンジョンは、1980年頃に突如、世界中に出現した。それは、小高い塔のかたちをしている。そのなかには異界への入口があった。

この異界には、見たこともない危険生物が生息していた。

また、未知の資源も眠っていた。これらの資源の多くは、摩訶不思議な材料や機械類だ。当時は、科学的に理解することができない代物ばかりだった。









やがてダンジョン攻略が進行していく。すると、ある事実が判明した。

ダンジョン資源で、人間に特別な能力を付与できることだ。それはジョブやスキルと呼ばれている。

こうして、世界中がダンジョンに熱視線を送るようになった。ダンジョンの保障するジョブとスキル。これらは人間の本能的欲求をかりたてたからだ。






我が国では90年代半ばからダンジョン探索業が本格的に沸騰する。こうして、2023年現在、ダンジョン探索は、社会インフラを担う重要な産業へと成長した。










さて、俺こと東路力也はたった今、レティに投げ銭するところだった。レティは、アイドルグループ☆☆☆XXXのメンバーである。

☆☆☆XXXは、トリプルスターキッスと読む。グループは結成して9ヶ月ほど。まだまだ、新進気鋭のアイドルグループだった。

Dverの☆☆☆XXX公式チャンネル登録者は15万人ほどだ。メンバー個人のチャンネルはもう少し登録者が多い。たとえば、レティのチャンネルの登録者は18万人ほどいる。




さて、レティは、華奢な牝鹿のような小顔に、プロポーション抜群の抱きしめたくなる身体つきをしていた。

そして配信に一生懸命な人だった。性格も優しくて、ちょっとわがままなところも可愛かったりする。まごうことなき俺の推しだ。半年ぐらい前からファンになっている。

俺がレティに送ろうとしている投げ銭の金額は50000円。スマートフォンをあとひとつタップするだけで完了する。

画面のなかのレティは今、ダンジョンを探索中だった。彼女の職業は神官だ。今、仲間を範囲回復で全快させたところだった。レティの回復力はひいき目に見ても優れている。

「回復おめ」

と投げ銭用のコメントを打つ。そして50000円を投げた。










レティは今、同じくメンバーのアーミヤに声を掛けている。互いに笑顔で話していた。彼女たちを撮影ドローンが良いアングルから映している。

「あ、ピポテさん。いつも、投げ銭ありがとね」

画面のなかのレティが微笑みながら、カメラに手を振ってくれている。大人しいアーミヤもコクリとうなづいた。

「フフフフひひひひひひ」

嬉しい。めっちゃ嬉しい。大好きなレティが可愛い。とにかく可愛い。

俺は喜びのあまり、ベットの上をごろごろと転がった。

そして配信を名残惜しみながらも途中でダウンする。明日は朝早い。3日ぶりに仕事があった。

俺は、推しのレティにさらに貢ぐため、もっと働かなければならないんだ。電気を消して、俺は眠りについた。








朝になった。時刻は午前4時。仕事のときは、いつもこの時間に目を覚ます。


スマホを見ながら、自宅で朝食を取る。見ているのは、昨日のレティの配信について書かれたYitterのお気持ちだった。

「あ~わかる」

ハートマークを押す。自分のお気持ちはめったに書き込まない。でも、誰かのお気持ちに共感したい。だからYitterを見ている。


俺は15歳のときから働き出した。それからずっと一人暮らしだ。

家にテレビはない。Yitterの文字すら目にしないと、孤独をよりいっそう感じる。文字と言えば、ニュースもそれほど見ない。それよりも、Yitterで見知らぬ誰かのお気持ちが知りたい。

直接その人と意見は交わさないけど、俺と同じハートの人がどこかにいる。それを確認したくなる。







朝食を終えた。社内タブレットで今日の勤務計画を確認する。

俺は探索者だ。働き始めて、もう3年目になる。今は17歳だ。

ジョブはアタッカー系の剣士である。俺は5歳のころに剣士のジョブを選んだ。剣には愛着がある。子どもの頃に、俺が憧れたアニメの主人公がいて、彼が刀の使い手だった。彼に出会って以来、俺の人生は剣とともにある。

剣で食べるために俺は探索者となった。他の仕事は思いつかなかった。






探索者となったときは、仲間たちと共に、大活躍するつもりだった。でも残念なことに俺は重度のコミュ障。人と上手くコミュニケーションが取れなかった。人間関係にも容易に疲弊した。

だから、俺は企業所属の探索者でありながら、今、誰ともチームを組んでいない。ソロの探索者として働いている。

ソロの探索なので、戦闘におけるリスクは出来る限り犯さない。俺が探索者として、輝かしい功績を残す道はすでに絶たれていた。たった一人ではチームで分業する優れた探索者たちにかなうはずもない。






さて、起床してから3時間ほど経った。現在時刻は午前7時だ。すでに現場に出勤している。


今、新宿ダンジョンD-221の塔のなかにいた。ここは、まだダンジョン内部の異界ではない。

装備はすでに身体に装着した。腰には剣を有している。これらは家の近所にあるアルクレイブ社三鷹基地局に預けてあった。アルクレイブは俺が所属する企業だ。


俺のセキュリティチェックを係員が行う。

塔内部はたくさんの柵で遮られている。中央には大きな石門があった。門のなかは青く光っている。この門がダンジョンという異界への入口だった。







「こちら、ピポーテ。トランスパレント聞こえるか」

ピポーテは俺のダンジョンネームだ。通話相手はトランスパレント。彼は、俺の探索をサポートするオペレーターだった。

「こちら、トランスパレント。おはよう、ピポーテ。今日の標的は新宿エリアD-225の火聖石の採掘。およびその周辺のブレイズバッド。旅程は6時間。間違いないか」

「大丈夫っす。今日もよろしくね」





トランスパレントは良い人だった。

俺のようなソロ探索者にも親身になって接してくれるオペレーターだ。何度か食事をしたこともある。

ちなみに彼は、もう30代半ばで綺麗な奥さんと二人のお子さんがいた。普通にうらやましい。彼はカッコいい大人だった。







エリアD-255まで来た。すでに、いくつかブレイズバッドの群れを狩っている。

ブレイズバッドはだいたい10匹から15匹群れだ。彼らは火の球を吐いて、空中から攻撃してくる。こいつらはコウモリ型のモンスターだった。それなりに危険な相手だ。でも、トップレベルからは、ほど遠い敵でもある。


跳躍、さらに空中でも跳躍する。いわゆる二段ジャンプだ。

スラッシュスキル発動。宙で剣を一閃する。

4匹のブレイズバッドが墜落して、灰となり消えていく。あとにはこぶし大の赤い妖結晶が落ちた。

「注意。背後から敵の攻撃が来ている」

トランスパレントの警告だ。

間一髪で攻撃を回避した。火球が身体すれすれを通り過ぎる。

交わせたのは、直感・感知スキルによる空間把握力が大きい。この2つの認知系スキルは俺の命綱だった。ジョブは剣士なので、攻撃を交わすしかない。俺の耐久力はそれほど高くなかった。

スラッシュスキルをふたたび繰り返す。

俺が使える攻撃系のスキルは、スラッシュとペネトレイトブレイクだけだった。

ペネトレイトブレイクは一日に2回ほどしか使えない。だから、万が一のために残してある。それは、俺の切り札だ。






昼休みだ。今は、12時ジャストだった。俺はセーフゾーンで休憩していた。

トランスパレントとの通信は切れている。彼も休憩しなければいけない。ずっとオペレートのために着席しているから、身体の負担は意外に大きいらしい。



「今日も今日とて」

Yitterだ。

お気持ちをいろいろとスクロールしていく。ん、なんかあったか。少し☆☆☆XXXのファン界隈が荒れているように見える。

そこで、俺はYitterの注目のお気持ち画面を開いた。そして驚愕した。








「は」

完全に思考が停止する。注目されている検索を紹介する部分に、

☆☆☆XXX いじめ
レティ 回復サボり
ナツミ いじめ
ロクティ 口悪い

などと書かれていた。






「いや、昨日の配信のことか。なんもなかっただろ。え、今日の昼間の配信?」


いそいでDverの☆☆☆XXXの非公式の切り抜きチャンネルを見た。このチャンネルは、長時間のライブ配信を要約した動画をアップするチャンネルだった。動画がすでにアップロードされている。

タイトルは、

「アーミヤ号泣して逃走。ナツミ、ロクティ、レティは反省でw」

と書かれていた。


俺は苦笑しながら、動画のサムネイルをタップした。

まだ、何が起きたのか知らなかったので余裕があったのだ。☆☆☆XXXの炎上はこれが初めてではない。人気者にはいろいろとある。


それから20分後、俺は無事に心が死んでいた。





「やぁ。気分はどうだい、ピポーテ」

俺は無言でトランスパレントに応じる。

「どうした。極度のストレス状態にあるようだが」

探索者が付けているヘルメットや同伴している撮影ドローン。それらの計測装置から、オペレーターは探索者の状態に注意を払っている。


「最悪だよ、トランスパレント! ぁああああああああ」

俺は号泣した。そして、自分でも、ここまで泣いたことにビックリした。

トランスパレントはひどく困惑した様子だった。











帰宅した。時刻は午後4時だ。


俺はさっそくベットのうえに寝っ転がる。今日は疲れた。スマホはもう見たくなかった。例の騒動のショックがでかすぎて。



今、☆☆☆XXXはネットでめっちゃ叩かれてるみたいだ。でも当然だろ。



ライブ配信本体のアーカイブはすでに見れなくなっている。

だが、そのアーカイブから切り抜かれた映像と音声が、ネット中に拡散されていた。

この炎上はしばらく収まらないだろう。ひょっとすると、☆☆☆XXXの人気凋落のきっかけにすらなるかもしれない。

まだ、彼らはメジャーな企業の配信者集団といえるほど人気ではなかった。


普段は擁護するファンたちすら、非常に攻撃的になっている。




そして、俺は...

レティの態度が普通にショックだった。

たしかにミスをしたアーミヤは、レティがモンスターから助けられたあとも彼女に謝らなかった。レティは、アーミヤのその態度に腹を立てたのかもしれない。

だとしても、いわゆるヒーラーがああいうことをしたら、絶対にダメだ。

レティは次の戦闘で、ヘイトを集めて攻撃されているアーミヤを無視した。アーミヤを回復する素振りすら見せなかった。しかもナツミ、ロクティと一緒にアーミヤの無視を続けた。

とうとう、アーミヤは、モンスターから泣いて逃げ出した。

正直、その光景を見て、レティにかけられた魔法が解けた気がした

やばい、また泣きそう。






時刻は午後5時だ。あまりのショックで夕飯がのどを通る気がしない。これが弱者男性の悲哀ですよ。悲しい。

俺は電気を消して、大人しく眠ることにした。




夢を見ていた。15歳のころの夢だ。



15歳新卒でアルクレイブ社の探索者になった。1ヶ月の研修のあと男1人と女2人のチームに加えてもらった。でも数ヶ月ぐらいして、人間関係が上手くいかなくなった。

それから、俺はそのチームを出た。以来、ずっとソロ探索者として働いている。もう、辛い思いをしたくない、仕事は一人でやると決意した。

最後の時期、俺は同じチームの女子2人から完全に無視されていた。

今回の騒動がきっかけで、それを頭が思い出したのだろう。









2日後、俺はアルクレイブ社の佐々木部長に本社へと呼び出されていた。

「失礼します」

「うん、入りなさい」


佐々木部長は食えないタヌキ親父のような人だ。個性的な迫力がある。眼光鋭く、じっと顔を見てくる。それが苦手だった。

呼び出しか。なんだろうな。




「トウジリキヤくん」

「はい」

「ウチの子会社であるリバティ社への出向を命じる」







俺は黙ってうつむいた。


「気に入らないかね」


と佐々木部長。どっしりと構えて、扇子を仰いでいる。今は真夏なので、この部屋にはクーラーがかなり効いている気がするのだが。




俺は部長にお辞儀した。

「わかりました。喜んでお受けします」

俺は、わがままを言ってソロ探索者をさせてもらっている。アルクレイブには恩がある。拒否することはできなかった。俺ぐらいのぺーぺーじゃ、この話を断ったらクビだろうし。


「わたしゃね。君には期待しとるんだ」

そうですか。俺は曖昧に会釈を返す。









「君はソロであることを踏まえると、成績は良い。コンスタントに結果を残す。目つきも気に入っとる。せめて」

佐々木部長は目を閉じた。

「君がチームで戦えれば、もっと良い待遇を与えられるのだが」


部長はにやりと笑った。

「そうなれば、君。うちのエースになってもおかしくない。君をわたしは高く評価しとる」


そうですか。ふーん。でも、なぜ出向させられるのかは、聞かないほうが良さそう。







「だから、今回の話は納得がいっとらん」


部長は鼻息荒く天井を睨む。俺は冷めた目で彼を見ていた。


「必ず、君をここに戻せるよう、個人的に働きかけるつもりだ。待っていなさい」

部長の手にした扇子がぱっと開く。彼は扇子とともに決めポーズをしていた。









俺は笑顔で応じた。部長に拍手する。

「ありがとうございます。新天地でも佐々木さんが、今してくださったような評価を受けられるように、誠心誠意はげみます」


「おお、そうかね」

佐々木部長は涙を流しはじめた。

いや、まさかね。俺は無難な表情をつくりつつも、心は冷めきっていた。






すると、佐々木部長は立ち上がって、俺に握手を求めてくる。俺は、頭を下げて部長と握手した。


「できれば、君とこの機会に食事がしたかったが」


「はい」

佐々木部長は苦笑いする。

「最近の子は飲みニケーションは嫌がるらしいからね。では、これで」


「ありがとうございます」

本当に俺の出向がダメならば、部長がそれを握りつぶすに違いなかった。これがお世辞であることぐらいは、世間に疎い俺でもわかる。

「あぁ、頑張ってくれたまえ」











部屋から出ようとしたときだった。

「ちなみ、アンドレア・レノンくんも君と一緒に行くからな」

「え」


俺はその場で停止した。アンドレア・レノンはオペレーターのトランスパレントのことだ。いや、なんで。











「君、彼と仲が良いそうじゃないか」


ちょおおおお...なんと俺のせいだった。すまない、トランスパレント。本当にすまない。あとで君に謝るから、許して。ごめんな。


俺は悔し涙を押し殺しながら、必死で笑顔をつくる。



「トランスパレントがいるなら、心強いですね」

それを聞いて、佐々木部長は満足そうにうなづいた。







「おそらく、あと数ヶ月ぐらいしたらうちに戻ってこれる」


いや、ホントかよ。どうみても島流しでしょ。


「リバティ社は今、渦中の会社だ。君もきっと知っているだろう」

俺は曖昧にうなづいた。いえ、知りません。


佐々木部長は続けた。

「リバティはエンタメを扱っとる。だが、所属アイドルがダンジョン探索のライブ配信中になにか起こしたらしい。ともかく、彼らのボディガードは任せたよ」

「はい、かしこまりました」


さも、わかっている風のつくり笑顔で俺はすかさず応じた。



そして、部長の言葉をよく咀嚼する。


え?










今日は2023年8月19日だ。時刻は正午。

遥か遠い本社ビルのてっぺんを、俺は見上げていた。




どうやら、俺は☆☆☆XXXのメンバーとこれから働くことになるらしい。

仕事内容は、彼女たちのダンジョン探索配信を影からサポートすることだ。


「仕方ない、やるか」



どうせ、ソロ探索者としての俺などたかが知れている。アルクレイブ社にこれ以上いても、栄達など望めない。

しかも、俺はひょっとしたら、あのレティに会えるかもしれない。あんなに綺麗な人と同じ職場なら、テンション上がりそう。





そうだよ。俺は、リバティ社で、新しい仕事をするんだ。これまでのソロの孤独とはおさばらさ。

俺は本社ビルに背を向けて、迷いなく歩き出した。ちなみにトランスパレントに電話して謝る件はすっかり忘れてしまった。ごめん、トランスパレント。


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今日は、8月24日。

俺は☆☆☆XXXのメンバー3人とリバティ社で面談していた。彼女たちがボディガードの対象だった。基本的に、彼女たちのダンジョン探索中に働くことになる。

あと、もう一つ重要な仕事があるとも言われていた。まだ、何なのか教わってないけれど。




残りのメンバーたちは、あのいじめ騒動の日から2週間の謹慎となっている。8月31日に復帰予定だった。彼らはすでに被害者のアーミヤには、謝罪したらしい。





だから、ネットの炎上も少しは落ち着いたかもしれない。

ちなみに俺は、この職場に来てから、Yitterのアカウントを消して、ネットから断捨離した。勤務先企業を非難するYitterのお気持ちを家で見るの嫌じゃん。






俺が今、面談している3人のメンバーは、アリーシェ、アーミヤ、リオナだった。


「あなたが、ダンジョンでのボディガードなの?」

まず、俺にそう声を掛けたのは、アリーシェだった。

彼女は、☆☆☆XXXのリーダーだ。最年長の女性らしい。ちなみに年齢は非公開。どこか威嚇するような目で俺を見ている。

すっごい美人なので、その激しい視線にすらドギマギした。あと、おっぱいでっかい。

「よろしくお願いします」

俺は何食わぬ顔で頭を下げた。







「よろしくね」

それはゆっくり近づいてきたアーミヤだった。ニコッと笑っている。あ、可愛い。例のいじめ騒動の影響はその表情からまったく感じなかった。

ちなみに俺はレティのリスナーであるレティっ子だ。でもアーミヤもいいな、と思ってしまうぐらいに今の笑顔は可愛かった。

ただ、この子やっぱりまな板だな。アリーシェやレティに比べると、明らかにそうだ。





「...」

じーっと俺を見つめている女の子がいる。よせやい、照れるじゃないか。彼女はリオナだ。不思議ちゃんという感じ。でも信じられないくらいの美貌を誇る美少女だった。リオナは、ネット上でカルト的な人気を誇っている。

ただ個人的には、リオナがたまに行う無言耐久配信は本当に謎でしかなかった。

無言耐久配信中に彼女は、カメラの前でじっと黙って座っている。いや、罰ゲームかよ。配信のコメント欄だけが、なぜか異様に盛り上がっていたのを覚えている。








「あなた、わたしたちのことをちゃんと守れるんでしょうね。ただの探索者なんでしょう」

おっぱいさん、綺麗だぜ。でもアリーシェはけっこう人当たりがキツイ感じなのか。配信ではおしとやかなお姉さんって感じなのに、意外。


それにしても、レティに一目会えたら良かったなぁ。やっぱり最高に美人なのはレティだから。彼女は今、謹慎中だけどね。

俺は、レティが大好きだった。正直、身体も顔もめちゃくちゃタイプだった。

今回のいじめ騒動は、ショックだったけど。あれだけすさまじい美人だから、性格悪くても全然ありだろ、と思えたら、無事に吹っ切れた。そういうわけで可愛いは正義だった。ルッキズム最高だね。





「あら、レティがいなくて残念だったわね」


俺は反射的にのけぞった。

アリーシェの探索者のジョブはサポート系のバッファーだ。サポート系のスキルには、たしかにマインドリーディングなんて野暮なものがある。








「ご明答。よからぬ邪念を抱かないように、せいぜい気をつけなさいね」

とアリーシェ。顔が真っ赤になっている。俺がおっぱいさんなどと心のなかで呼んだのが聞こえていたらしい。怒りなのか恥じらいなのか。いや両方だろうな。


「あ、はい」

俺は壊れたゼンマイ人形のように懸命にうなづいた。せめて事前に警告して欲しかった。しかし、マインドリーディングを取るなんて大丈夫だろうか。あれは心を病むって聞いたけど。


「ね、なにを言ってたの?」

アーミヤが俺のほうをチラッと見ながら、アリーシェの肩を叩いている。俺の考えたことを聞き出そうとしているようだ。

アカン。


「ああああ、ちょっと、ちょっと。待ってください」

俺はいきなり意味不明な大声をぶっこんで、流れを変えた。
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