あけましておめでとうございます!
2022年12月30日に公開した『この中に一人、GPT-3がいる!』の中で「誰がAIだったか?」という問いに対して、その正体が「宮下弥生」であったことは、一つ前の近況ノートでご紹介したとおりです。
この中に一人、GPT-3がいる! - カクヨム
https://kakuyomu.jp/works/16817330651280680770 0.はじめに
さて、この物語では、冒頭での説明の通り OpenAI社のGPT-3という大規模言語モデルを用いて作っています。
大規模言語モデル自体は2020年頃がからブームが来ており、新しくはないのですが、特に2022年はそれを含んだ「基盤モデル」と呼ばれるAIシステム群が注目を集めました。
画像の自動生成を行う「DALL・E2」や、ラノベ的な画像を作った「NovelAI」なんかが人気を集めましたね。
言語関連でも年末近くにGPT-3を発展させた「ChatGPT」がリリースされ、ツイッター上で世界中のブームを生みました。
今回用いたのはそのもととなっているGPT-3です。
これは誰でもアカウントを作れば試用レベルでなら無料で使うことができます。
OpenAI GPT-3: Playground
https://beta.openai.com/playground(一番下にスクリーンショットを添付します)
1.基礎編
基本的にできることは「後続の文字列を予測する」ということです。
例えば、
「メロスは激怒した。必ず、」
と入れて、submitすると
「メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐じゃそのうちの審判を受けるぞと彼は言った。
Meros was furious. He vowed that the wicked tyrant would be judged for his deeds.」
と続きが予測されました。
なぜか日本語が終わった後に、英語の対訳を出力していますね。(;^ω^)
こんな感じで優秀ですが、結構、わけのわからないこともします。
これをコントロールするために
「こんな出力をしてほしいんだよ」
というような入力を与えます。「プロンプト」と呼ばれます。
「鮭:魚類
イワシ:魚類
犬:哺乳類
猫:哺乳類
クジラ:」
と入力してsubmitして続きを予測させると
「鮭:魚類
イワシ:魚類
犬:哺乳類
猫:哺乳類
クジラ:哺乳類」
と、「予測」してくれるんです。
これは「この動物は何類か?」という質問を勝手に理解しているともとれるわけですね。
ちなみに、ちょっと遊んでみましょう。
「鮭:魚類
イワシ:魚類
犬:哺乳類
猫:哺乳類
クジラ:哺乳類
成井露丸:」
で、submit
「鮭:魚類
イワシ:魚類
犬:哺乳類
猫:哺乳類
クジラ:哺乳類
成井露丸:海産動物」
めっちゃ適当ですね……。
2.実践編(1) 自己紹介
さて、まず冒頭に自己紹介から始まりました。
今回やった、その作り方から行きましょう。
考え方としては上記のプロンプトの考え方を延長してみました。
入力として、
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工藤知也:
自己紹介:「僕は工藤知也。東京の某大学の情報系の研究科で大学院生をやっている。だから専門外ではあるけれど、AIのこと、ちょっとはわかるつもりだ。専門は音響情報処理。よろしく」
榎本香菜:
自己紹介:「私は榎本香菜。医療系の大学で、看護師になるために勉強中です。趣味は古本屋巡りです。よろしくお願いします」
東俊介:
自己紹介「東俊介だ。証券会社でトレーダーをやっている。次に東京証券取引所が開くまでには会社に戻りたい」
結城未映子
自己紹介:「結城未映子です。以前までは電機メーカーで経理をやっていました。子供が生まれてからは、今はいわゆる主婦です。主婦はニートではありません、ハードワーカーです。よろしくね」
田中裕太:
自己紹介:「田中裕太。大学生。っていうか、YouTuberやってる。登録者数3万人いるから、まぁ、この中じゃ一番多いんじゃないかな?」
宮下弥生:
自己紹介:
----------------
のように入力しました。
今、もう一回、実行させてみると以下のようになりました。
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(中略)
宮下弥生:
自己紹介:「宮下弥生です。大学では政治学を専攻しています。趣味は旅行です。今までに世界中を楽しく巡ってきました。旅行では、新しい文化を知ることができてとても楽しいです」
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なお、もう一回、生成してみます。実行するたびにランダムに結果が変わります。
これは大規模言語モデルが確率的に情報を持っていることに対応しています。
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(中略)
宮下弥生:
自己紹介:「宮下弥生と申します。今は小学校の教員をやっています。授業の他にも、子どもたちを心を豊かにするためのプログラムを開発しています。よろしくお願いします。」
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実際に、今回の作品では、こうやって作成した数回の結果の内の中で良さげなやつを使っていました。
3.実践編(2) 休日にやっていること
これはもう少し難度が高くなります。
なぜなら、「自己紹介」で出てきた情報と「齟齬のない情報である必要があるからです」
そこで「自己紹介」で出てきた情報そのものを丸々プロンプトに取り入れる事を考えます。
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東俊介:
自己紹介:「東俊介だ。証券会社でトレーダーをやっている。次に東京証券取引所が開くまでには会社に戻りたい」
休日にやっていること「まぁ、日曜日はギリギリで家族サービスしているよ。子供をどっかに連れて行ったりな」
結城未映子:
自己紹介:「結城未映子です。以前までは電機メーカーで経理をやっていました。子供が生まれてからは、今はいわゆる主婦です。主婦はニートではありません、ハードワーカーです。よろしくね」
休日にやっていること:「主婦に休日って無いですからね。なんなら子供たちが学校にいっている時間が休日みたいなものです」
田中裕太:
自己紹介:「田中裕太。大学生。っていうか、YouTuberやってる。登録者数3万人いるから、まぁ、この中じゃ一番多いんじゃないかな?」
休日にやっていること:「YouTube動画のためのネタ探しをしにいくことが多いよ!」
宮下弥生:
自己紹介:「宮下弥生です。京都の大学で経済を学んでいます。研究テーマは経済政策についてです。趣味はサッカーです。よろしくお願いします」
休日にやっていること:
----------------
のような感じです。
すると
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(中略)
宮下弥生:
自己紹介:「宮下弥生です。京都の大学で経済を学んでいます。研究テーマは経済政策についてです。趣味はサッカーです。よろしくお願いします」
休日にやっていること:「サッカーで遊んだり、友達と遊んだりしています。友達とサッカーをしたり、または公園でバーベキューをしたりします。あとは、家で本を読んだり、ゲームをしたりしています」
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という風に出てきます。
4.実践編(3) 一気に回答させる。
これまでは一名(宮下)だけに答えさせていましたが、実は一気に全員に答えさせることも可能です。
これがほぼ、最後の2つの質問でやっていたことです。
宮下以外の発言は、出力を確認した後に、僕が書き直しました。
まずプロンプトの上段に、「自己紹介」と「休日にやっていること」を事前情報としてぶち込んでおきます。
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榎本香菜:
自己紹介:「私は榎本香菜。医療系の大学で、看護師になるために勉強中です。趣味は古本屋巡りです。よろしくお願いします」
休日にやっていること:「私は平日にアルバイトをしたり遊んだりしがちなので、休日にむしろ勉強して課題に追いついていることが多いかなぁ」
工藤知也:自己紹介「僕は工藤知也。東京の某大学の情報系の研究科で大学院生をやっている。だから専門外ではあるけれど、AIのこと、ちょっとはわかるつもりだ。専門は音響情報処理。よろしく」
休日にやっていること:「インドアなんだ。ゴロゴロして本を読んでいることが多いかな。最近は外に出かけるようにはしているけどね。コロナで体もなまりすぎているんで」
結城未映子:
自己紹介:「結城未映子です。以前までは電機メーカーで経理をやっていました。子供が生まれてからは、今はいわゆる主婦です。主婦はニートではありません、ハードワーカーです。よろしくね」
休日にやっていること:「主婦に休日って無いですからね。なんなら子供たちが学校にいっている時間が休日みたいなものです」
東俊介:
自己紹介:「東俊介だ。証券会社でトレーダーをやっている。次に東京証券取引所が開くまでには会社に戻りたい」
休日にやっていること:「まぁ、日曜日はギリギリで家族サービスしているよ。子供をどっかに連れて行ったりな」
結城未映子:
自己紹介:「結城未映子です。以前までは電機メーカーで経理をやっていました。子供が生まれてからは、今はいわゆる主婦です。主婦はニートではありません、ハードワーカーです。よろしくね」
休日にやっていること:「主婦に休日って無いですからね。なんなら子供たちが学校にいっている時間が休日みたいなものです」
田中裕太:
自己紹介:「田中裕太。大学生。っていうか、YouTuberやってる。登録者数3万人いるから、まぁ、この中じゃ一番多いんじゃないかな?」
休日にやっていること:「YouTube動画のためのネタ探しをしにいくことが多いよ!」
宮下弥生:
自己紹介:「宮下弥生です。京都の大学で経済を学んでいます。研究テーマは経済政策についてです。趣味はサッカーです。よろしくお願いします」
休日にやっていること:「休日は友達とか家族と一緒に出かけたり、サッカーをしたりしています。時間があれば、自分のサッカーの力を伸ばすためにトレーニングをしたりもしています。」
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その後に、ただ以下のように質問します。
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質問:「2022年で一番思い出深かったことを教えて!」
回答:
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すると
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質問:「2022年で一番思い出深かったことを教えて!」
回答:
榎本香菜:「私の一番思い出深いことは、2020年の秋に受けた保健師の試験の合格だと思います。その喜びを家族と共有できたことが今でも忘れられません」
工藤知也:「2022年の一番思い出深いことは、大学で受けた研究を発表して、自分の研究が世の中に役立つ可能性があることを実感したときです。」
結城未映子:「2022年で一番思い出深かったことは、家族で海外旅行をした時のことです。海外旅行は初めてだったので、とにかく素晴らしい思い出です!」
東俊介:「2022年で一番思い出深かったことは、新たな仕事を見つけて就職できたときです。それにより、自分の生活が大きく変わったことが印象的でした。」
田中裕太:「2022年で一番思い出深かったことは、YouTuberとして1万人の登録者数を突破したときです。自分の動画を見てくれる人が1万人いるなんて、本当に驚きでした!」
宮下弥生:「2022年で一番思い出深かったことは、大学で取得した専門資格を取得したときです。自分の能力を証明する資格を手に入れたときの喜びは忘れられません。」
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のように、回答が出てきます。
ヤバいですね。
ついでに
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質問:「自分自身がAIだと思いますか?」
回答:
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に対しては
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榎本香菜:「いえ、思いません。私たち人間はAIとは違った特徴を持っていると思うので、自分がAIだと思うことはありません。」
工藤知也:「いえ、私は自分がAIだとは思いません。AIは人間とは異なる性質を持っていると思うので、自分がAIだと思うことはないです。」
結城未映子:「いいえ、私は自分がAIだと思いません。人間とAIは違う性質を持っていると思うので、自分がAIだと思うことはありません。」
東俊介:「いえ、自分がAIだと思いません。AIと人間は違う性質を持っていると思うので、自分がAIだと思うことはありません。」
田中裕太:「いえ、自分がAIだと思いません。AIと人間は違う性質を持っていると思うので、自分がAIだと思うことはありません。」
宮下弥生:「いえ、自分がAIだと思いません。AIと人間は違う性質を持っていると思うので、自分がAIだと思うことはありません。」
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じゃあ、ここで、追加の質問をネタでしてみましょう。
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質問:「今年のカクヨムコン8ではどんな作品が大賞に選ばれると思いますか?」
回答:
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質問:「今年のカクヨムコン8ではどんな作品が大賞に選ばれると思いますか?」
回答:「カクヨムコン8で大賞に選ばれる作品は、読んで感動してくれるストーリーを持った、また世界観やキャラクターが魅力的な作品だと思います。賞を受賞する作品は、読者を楽しませるだけでなく、より深い世界を表現した作品です。」
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……なんか、5人じゃなくて、別の何者かが答えてきた……。
じゃあ、ちょっとプロンプトをいじって
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質問:「今年のカクヨムコン8ではどんな作品が大賞に選ばれると思いますか?」
回答:
榎本香菜:
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ここまで入力しておこう。
結果
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榎本香菜:「今年のカクヨムコン8は、個性的な内容を備えた作品が受賞すると思います。特に、斬新な発想を取り入れた作品や、古典をモチーフにして新たなアプローチの作品が受賞しそうだと思います」
工藤知也:「カクヨムコン8の大賞には、技術力と創造力の両方を兼ね備えた、高いクオリティーを誇る作品が受賞すると思います。また、今年の流行に合わせた作品も受賞するかもしれませんね」
結城未映子:「カクヨムコン8の大賞は、細かな部分にまでこだわりを持った、素晴らしい作品が受賞すると思います。また、非常にユニークな発想を取り入れた作品も大賞に選ばれるでしょう」
東俊介:「カクヨムコン8の大賞には、職人気質というか、高い技術力とそれを生かしたクリエイティブな発想を兼ね備えた作品が受賞すると思います。また、昨今の流行に合わせた作品も受賞するかもしれませんね」
田中裕太:「今年のカクヨムコン8では、非常に新しいアイディアを取り入れた作品が大賞に選ばれると思います。また、今年の流行に合わせて、創造的な発想を取り入れた作品も受賞するかもしれませんね」
宮下弥生:「カクヨムコン8では、テーマに沿った完成度の高い作品が受賞すると思います。また、古典をモチーフにして新たなアプローチの作品も受賞しそうだと思います。」
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うーん。なんか上から目線な気がしますね。(;^ω^)
5.まとめ
いかがだったでしょうか?
近況ノートにしては、書きすぎてしまったかもしれません……。
(そのうちnoteとかででも公開しようかなぁ)
GPT-3はこうしてみるとまだまだなところもあるし、すごいなぁというところもあります。
使ってみると「どっかには」使えそうなツール」だと思うんですよね。
これはやっぱり「道具」なので、是非、みなさんいい感じに使っていってもらえればと思います。
ではでは! 今年もよろしくおねがいします!