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https://kakuyomu.jp/users/touikai/news/16817330663962145497第72話 悪役令嬢追放
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「ううっ、先輩……なんでなんで、私がこんな仕打ちを受けなければならないんですかぁ?」
うちにドナドナされてきた楓ちゃん……。
暴れると手をつけられないという理由で手足を拘束されている姿が痛々しく、彼女も涙ながらに窮状を訴えてきていた。
俺は楓ちゃんの耳元で囁く。
「いくらゲーム世界でも楓ちゃんはやり過ぎてしまったんだと思う」
「そんな……先輩なら私を助けてくれますよね? それもこれも全部先輩を愛するがゆえの行動だったんですから!」
俺に近寄ろうした楓ちゃんだったが、使用人に「沙織お嬢さま!」とたしなめられ、進路を塞がれてしまう。
「気持ちはうれしいけど、人を傷つけてしまうような愛情は受け入れられないよ」
「あうう……あうう……」
楓ちゃんは使用人を挟んで、俺のまえで膝を折りうなだれ号泣していた。
「八乙女さま、どうぞ沙織お嬢さまをよろしくお願い申し上げます」
「はい」
楓ちゃんの身柄は俺たちに預けられたのだが、周防家へ戻ろうとする使用人たちが息を漏らして肩が下がっていた。
隣にいた若葉は使用人たちに注目し、俺の袖を引く。
「兄さん……あれ」
「うん、周防はよほど使用人たちをこき使っていたのかもしれないな」
――――屋根裏部屋のまえ。
一応彼女は客人という扱いにはなっている。
だけど彼女は、俺たち家族の許可なく外には出られない。さすがに座敷牢こそ、うちにはなかったが再教育という名目で彼女には屋根裏部屋で過ごしてもらっていた。
ただ俺は楓ちゃんの処遇を決めあぐねていた。
なぜなら……俺自身は、ほぼ無害だったから!
俺と楓ちゃんが前世で職場で……いや偶々なんだろうけど小中高大学といっしょになってしまっていた。
さすがにここまで同じになってしまうと俺たちの関係は先輩後輩というより兄妹みたいなものだと俺は認識していた。
だけど……楓ちゃんは恋人になりたいとずっと思っていたらしい。しかし、俺を追って命まで断ってしまうなんて、どうかしてる……。
そんな子を俺には到底裁くことができなかった。もちろん彼女たちに甘いと言われればそれまでなんだけど。
俺はそうでも、若葉たちヒロインはそういうわけにはいかないので、彼女たちに楓ちゃんの処遇を決めてもらうことにした。彼女のやらかしたことは俺が裁くより被害を受けたであろう彼女たちに委ねるのが最適だと思われたからだ。
そもそも俺が楓ちゃんを分からしたとしてもあの様子から見て、ご褒美にしかならないだろうし。
数日が過ぎ、屋根裏部屋から連れ出された楓ちゃんは若葉たちのいる、うちにある会議室に入ってゆく。
なかでは裁判のようなものが執り行われており、3時間ほどで若葉たちが出てきた。
「兄さん、周防さんの処遇が決まりました」
「どうなるんだ?」
「はい……」
若葉は俺に判決結果を聞かせてくれたのだが……。
「えっ!? なんでそうなるの?」
「決まったことなので、四の五言わずに従ってください。それとも私とでは嫌……なんですか?」
若葉は最初こそ語気を強めて言ったのだが、だんだん恥ずかしくなってきたのか人差し指の先同士をもじもじさせて、訊ねてくる。
「いや、そんなことはないんだけど……」
「はっきり言ってください。私だって恥ずかしいんです……あの、その兄さんとえっちするなんて……」
あれだけ俺からミルクを搾り取っておいて、恥ずかしいもなにもないと思うのだが、若葉にとっては俺と同衾することは恥ずかしいことらしい。
それからまた幾日かすぎて、若葉の部屋へと誘われていた。裁判が終わってから、俺は一度も楓ちゃんと顔を会わすことなく、日々の生活を送っている。
若葉は俺に懇願していた。
「兄さん……いっぱいいっぱいなかに注ぎ込んでください」
「いくぞ、若葉! 俺は覚悟を決めたから、いっぱいなかに注ぎ込んでやる。あとから後悔したりしても知らないぞ」
「後悔なんてしません!」
「ああ、分かった。出すぞ!」
「はい!」
むにゅ、むにゅ、むにゅぅぅぅぅぅぬぬぅぅぅ!!!
「ひゃあーーーーーーーーーーーーん!」
俺から放たれた白いものはハート型に胸元の生地が切り抜かれたメイド服を着た若葉のあちこちに付着していた。
「に、兄さん……いっぱい出せとは言いましたが、いっぱいあふれちゃってるじゃないですか……」
「ご、ごめん……」
若葉のおっぱいについてしまった白いものを指で掬い、ぺろっと舌を出して若葉は舐めとった。
「でも兄さんのミルク……美味しい……」
恍惚とした表情で笑みを浮かべる若葉。
俺と若葉は二人で部屋でシュークリーム作りをしており、俺はシュー皮にクリームを入れる際に絞り袋を勢いよく絞りすぎて、あふれたクリームが若葉にかかってしまったのだ。
だが俺はクリームのかかった若葉を見て、ついに欲望が抑えきれなくなる。
「若葉、ごめん。お詫びに若葉を舐めたい」
「えっ、兄さん!?」
引かれたかも……だが俺は若葉の両肩を掴んで、彼女の目に問いかけていた。
目を背けて、恥ずかしそうにする若葉だったがツンなときは、はっきりと断っていたのになにも答えないことから俺は了承を得られたと思い、頬のクリームから舐め始めた。
頬から首筋へ移ると若葉が甘い声で鳴く。
「あん、兄さん……そんならめぇれすぅぅ」
「若葉がシて欲しいって言ってなかったっけ? あんな枕見せられたら、我慢できるはずがないよ」
俺の舌は自重をすることを知らずにハート型の谷間に顔をうずめていた。
「兄さん……今度はクリームじゃなくて……兄さんのホットミルクを私のここへ……」
若葉はスカートをぴろっとめくるとマイクロビキニも真っ青なくらい小さな小さな面積のパンティから美しい銀の毛髪が俺にごあいさつしていた。
思わず、ごくりと息を飲んだ俺は本能の赴くままに行動していた。
――――――――――自主規制―――――――――
シュークリームの皮って、キャン玉っぽピー《自主規制音》(以下自粛)。
――――――――――自主規制―――――――――
若葉とソファーで愛し合っていると何か若葉の部屋の姿見から微かに音がするのだが、そちらを見ていると若葉から頬を両手で掴まれ、ぐいと若葉だけを見るように引き戻された。
「兄さん……」
「若葉……」
俺と若葉が口づけを交わすと姿見がカタカタと振動していたが、それより若葉と愛し合えることのほうが勝り、どうでもよくなってしまっていた……。
ヒロインたちにえっちに迫られる日々に忙殺され、俺のなかですっかり楓ちゃんのことを忘れてしまっていたのだが、ついに彼女がうちを離れることになった。
「「桜塚音楽学校へのご編入おめでとう」」
菜々緒と萌香がにやにやしながら、楓ちゃんに告げていた。
桜塚音楽学校というのは桜塚歌劇団の女優を輩出するための女子だけ入れる全寮制の養成校みたいなもので、卒業生の多くは歌劇団に入り引退後は女優やタレントになるのが通例だ。
一条先生や若葉たちは純粋に楓ちゃんの編入を喜んでいるようだったが、当の楓ちゃんは苦虫を噛み潰したような歯噛みして渋い顔をしている。
楓ちゃんは俺と目が合うなり、叫んだ。
「先輩っ! 私、編入試験で白紙で答案を提出したんです! なのにあの難関を合格してしまうなんて、おかしいんですよっ!!!」
そこは周防のご令嬢ということで裏口入学的な力が働いたのかもしれない……。
男女交際の一切を禁じられる音楽学校はエロゲ世界であっても希有な存在……だがそこはエロゲ。禁欲に加え女の子に囲まれたことで百合に目覚めてしまう女の子も多数いる。
聞いたところによると周防家とは話がついており、楓ちゃんの将来は女優として、Y’sプロダクションの女優としてデビューが決まっているらしい。
夕霧の補填として、アイドルではないものの周防の美貌なら充分プロダクションを支える稼ぎ頭になってくれることだろう。
「先輩っ! こんなこんなことって、私が好きなのは先輩だけなのにぃぃーーー! ぐやじぃぃ……」
楓ちゃんは八乙女家の使用人たちに拘束され、桜塚音楽学校へ出荷されていったのだった。
――――学校。
相部屋の同級生からお姉さまと慕われているらしいと風のうわさで楓ちゃんのその後の消息を俺は知る。
元気にしているなら何よりだ。
席に着いて、一条先生を待っていると廊下がやたらと騒がしい。
するとその原因と思しきことが分かった。一条先生が爽やかイケメンを伴い、教室のドアを潜っていたのだ。
「今日からみんなといっしょに学ぶことになった転校生を紹介するわね~」
一条先生が自己紹介をするよう促すとイケメンは白い歯をキラリと見せながら、名乗る。
「龍崎晶です、よろしく!」
若葉を含めたヒロインたちは無反応だったが、男子は舌打ちして、女子たちが黄色い声を上げて色めき立っていた。
誰だ? あいつ……。
『スクダイ』にあんな奴いたっけ?
突然現れた知らない名の転校生に俺は驚いていた。俺の驚きは、それだけに止まらない。
なっ!?
「若葉! 会いたかった……」
自己紹介もそこそこに先生が着席を促すまえに若葉の席へ駆け寄り、龍崎は若葉に触れようと手を伸ばしていたからだ。
だが若葉はさっと身を引き、龍崎を避けた。
それでも龍崎は若葉の美しさ、清らかさに魅了されてしまったのか、手を取ろうとしたので……。
パシン!
「なんですか!? あなた……初対面の女の子に触れようとするなんて、非常識にも程があります!」
龍崎は強い語気で言い放たれたうえに、その眉目秀麗な顔に平手打ちを食らい、頬を赤くしていた。
「若葉……」
若葉の圧倒的とも思える拒絶をまえに呆然と立ち尽くす龍崎、そんな二人を見た教室はシーンと静まり返ってしまう。
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