『初恋リベンジャーズ』の第二部・「第4章〜推しが尊すぎてしんどいのに表現力がなさすぎてしんどい〜③」を投稿しました!
第4章の告知では、『初恋リベンジャーズ』という作品を執筆するにあたって、参考にした作品を作者に代わって紹介中!
第十一回目の今回はこちら!
『Qアノンの正体』
製作:HBO
監督:カレン・ホーバック
〜レビュー〜
世界中でセンセーションを巻き起こしたQアノン陰謀論。その起源となった匿名掲示板「8chan」の創設者や管理人親子に2018年のQムーブメント初期から2021年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃まで3年間にわたり密着し、オンライン上の言論の自由がもたらした陰謀論運動の内幕と正体不明の匿名投稿者「Q」の正体を探る。
前々回・前回と、ソーシャル・メディアが個人や社会に与える影響の大きさについて描いたドキュメンタリー作品を取り上げたけれど、今回は、いよいよネット・メディアが、国家転覆寸前とも言える事態を招いた政治運動『Qアノン・ムーブメント』の正体に迫る作品を紹介させてもらうわ。
世界を震撼させたアメリカ議会議事堂襲撃事件の背景には、数年に及ぶインターネット上の政治運動があった。
本作は、その『Qアノン・ムーブメント』を中心に、Qアノン運動に至る過程を前史にあたるゲーマーゲート事件、ピザゲート陰謀論などで暗躍していた人物を丁寧に取材したドキュメンタリー作品。
監督のカレン・ホーバックが密着する取材相手の一人、フレドリック・ブレンナンは、アメリカの匿名掲示板8chan創設者にして、日本の2ちゃんねるの元スタッフ。そして、骨形成不全症を持つ障害者。
幼い頃からネットの世界にドップリと浸った彼のユニークな言動を引き出しながら、サービス展開の裏にあった駆け引きを語らせるホーバックの話術が、本作の見所のひとつ。
さらに、日本人にとって衝撃なのは、海外の政治運動に、おなじみの2ちゃんねる(現5ちゃんねる)が大きく関わっているということね。
最近では、マスメディアでもお馴染みの西村博之が、2ちゃんねるを手放さざるを得なかった経緯とQアノンを巡る一連の事件で最重要人物と言えるワトキンス親子との暗闘に迫ったメディアは多くないだけに、それだけでも、十分に資料的な価値があると思うわ。
そして、何よりも、日本の5ちゃんねるから、アメリカの8chanなどの匿名掲示板の実験を握るジムとロンのワトキンス親子に密着して、彼らの実生活に迫り、二人から『Qアノン』に関する言質を取っていく様子は、良くできたフィクションのミステリーやサスペンス映画を観ているようで思わず、のめり込んでしまうこと間違いなしよ。
絶対的な証拠が示される訳ではなく、状況証拠の積み重ねでしかないけれど、タイトルの通り、『Qアノンの正体』に迫っている貴重な資料としても価値が高いだけに、楽しみながらネットメディアに巣食う人間の裏側を知ることのできるドキュメンタリーとして、多くの人に観てもらいたい一本ね。
本日の更新
第二部・「第4章〜推しが尊すぎてしんどいのに表現力がなさすぎてしんどい〜⑪」
今回もお楽しみください。
(芦宮高校広報部・花金鳳花)