KOUJI〜愛とすれ違いの日々〜
前回までのコウジは……
何度も期待させて消毒のみの診察。
愛しのコウジはズルい男。(歯医者)
東野幸治似だが先生の本名もコウジと判明。
お高めの最新レーザーで消毒してドヤるコウジ。
希望を打ち砕く長めの治療とレントゲン。
先送りの本歯被せ。
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私はコウジの家との中間にある、徒歩1分圏内のドラッグストアへの道を歩いていた。
3月の夜は冷たい空気で満たされていたが、ほんの数日前に比べればずいぶん和らいでいる。
上着を着るまでもないかと、パーカー姿のまま、花粉症の子供達の為のティシューを買いに行く。
必要なものを買い、レジで会計を済ませようとした私は、財布がないことに気付いた。
いつも財布を入れているバッグは空っぽ。
軽くパニクった私は、上ずった声でレジのおねえさんに話しかけた。
「あの、あの!財布忘れちゃってぇ。取りに行っていいですか?」
「大丈夫ですよ」
にっこり笑う彼女に勇気づけられ、私は小走りに店の外に出た。
恐らく彼女は、駐車場の車の中に忘れたと思っているだろう。
しかし、私は徒歩。多分、財布は家だ。
歩けば1分、ダッシュすれば恐らく30秒、いや、私の運動神経では階段の昇り降りにも時間がかかるはず。
昼にコウジの所に行った時、財布を別の上着に入れたのをすっかり忘れていたのだ。
この私の物忘れを甞めるなよ?
心の中で毒づきながら、財布を掴んでダッシュでとんぼ返りする。
なるべく息を切らさぬよう、澄ました顔をしてレジに再度並ぶ。
無事、会計を済ませ、家に戻ると、エントランスで長女とすれ違った。
「ねえ、オカン、聞いてよ。さっき保健所行って帰りに物産展行こうと思ったら、スマホ落としたのに気づいて保健所まで戻ったわ」
「フッ……なんだ、似た者親子か」
奇妙なシンクロに歪んだ笑みを浮かべた私は、家から見える歯科医院のビルを見つめ、心の中でコウジを呪うのであった……。
財布を忘れたのはコウジのせいよ!(八つ当たり)
つづ……かない!(#・∀・)キー!