• 異世界ファンタジー

ロスト・フェアリー第4章8 エクスカリバーについて

エクスカリバーといえば、日本ではRPGの世界で最強の武器としてよく描かれる。伝説の英雄王、アーサー王が手にした剣という由来。それにエクスカリバーという名前がいい。響きがなんとも雄大かつ壮麗だ。エクスカリバーは出自から喪失まで、あたかもそれ自体が一つの物語であるかのように、神秘で彩られている。魅力を感じないわけにはいかない。

さて、エクスカリバーといえば、少年のアーサーが石から抜き取る場面を想像する。エクスカリバー伝説の中でもゾクゾクとする一場面である。冒険の始まりを予感させる名場面だ。
この場面についてだが『ケルトの精霊物語』では次のように書かれている。
アーサーが石から取り出したという伝説であるが、ex Saxono【サクソン人からの】とex saxo【石からでた】の誤読から生まれたという。正しくは、「サクソン人から剣をとることができたただ1人の男」という意味だ。この石から取り出す場面はトマス・マロニー(1399-1471)が描いたバージョンに登場するが、それ以前のアーサー王物語の中にはない。

エクスカリバーはもともとは「カリブルヌス」(英語読みでカリバーン)という名前で、これはラテン語の「chalybs」からきているという。意味は「鋼鉄」。つまり、エクスカリバーは「鋼鉄の剣」である、という。案外、伝説はそういうところから生まれてきているのかも知れない。
エクスカリバーのもっとも古いの資料とされる『マビノギオン』(モリサマー著…ではないほうのやつ)に収録される『キルッフとオルウェン』においては、カレトヴルッフと表記されている。これはクー・フリンの養父フェルギュス・マク・ロイの愛剣カラドボルグのウェールズ語読みしたものである。『マビノギオン』の成立時期が曖昧(10世紀~13世紀)なところがあるのだが、古い資料の中にも尾ひれが付いていたり、他の伝説との混同が見られたようである。
カリブルヌスの名前は、「アーサー王の剣である」とされた後、ブリトン人によって呼び直された、という説もある。

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