敦煌

極東の地の巨大王朝「華」の都に、ひねもす読書に明け暮れる一人の遊女が住んでいた。 その女の名は結城阿羅々木。その気質は傲慢だが、歴史や書に通じ、度量は男の如く、大胆不敵にして豪快…

サブタイトル通り

伝説の時代の王朝・燕に、聡明で世にも美しい蘭朵と言う姫がいた。その美しさに惚れて求婚する男は数知れず、しかし姫の出す三つの謎かけに応えられねば、結婚はおろか生きている事さえできな…

　それは、破綻に見えて真っ当な、精巧に作られた歪だった。およそ終わりの見えない、幾重にも重なり暗闇を孕んだ空っぽの虚像。外殻を破る度に段々と萎縮して行く、色とりどりの可哀想な木彫…

「この頃になってやっと、少しずつ向き合える覚悟がついたんや。それが生きることで、それが無常やと漸くわかった」 息苦しいほどに不条理で、寞々と空虚なこの世界。 失ったきり戻らない、…

戦争に負け、クーデターの政権転覆によって首都を追われた独裁者ベニート・アルベリーニ。かつて民衆があれほどまで陶酔し、「ドゥーチェ」とまで呼んだ彼の成れの果てを見て、主人公は何を思…

最果て町。其処は座標の何処にも位置しない、平行世界に存在する小さな町。 或る日電車を寝過ごし、偶然此の町の無人駅に降り立ったストリッパーの若い女・紅沙羅は、町に二十年以上も住む西…

平凡な高校生の氏家ちひろは、ある日の下校中に電車を寝過ごし、「最果て」と云う名前の知らない無人駅に辿り着いた。途方に暮れていた時、その町に住むという小説家の男・散木に声をかけられ…

ある日突然職を解かれ、自暴自棄になりあてもなく旅をしていた主人公。砂漠の中にぽつりとある沙覇丘という小さな町に辿り着き、そこで妙な覆面の女と出会う。 西域風情あふれる美しい砂の町…