今回富士見L文庫様のラインナップに『ヒーローは眠らない』を加えていただくにあたって、それはもう最初から最後まで大幅な手直しを加えました。当たり前の話だとは思いますが。しかし、ストーリーの流れ自体は大まかには変更はないと思いますので、カクヨムバージョンを楽しんでいただいた方にも楽しめる小説に仕上がったのではないかと考えています。
ただしそうはいっても、いくつか大きな変更点があって、今回はそれらについて下記にまとめさせていただきました。大きく3つ。
①宮地麻由香の設定
カクヨム版では真由香だった名前を麻由香に変更しました。これには明確な理由があり、カクヨム版の宮地真由香のままだと、女優の宮地真緒さんと名前が三文字被るのがいかがなものかと考えた次第です。宮地さんのファンに怒られるかなあ、などと。
その他、主人公麻由香の出自設定が富士見L文庫バージョンでは大きく変わっています。どのように変わったかについては、是非書籍版でご確認いただければと思います。
②とある設定をオミット
これだけ書くとなんのことやらわからないかと思いますが、作者自身「この設定はいらないなあ、意味有りげだけど効果が出ないなあ、物語の流れに機能してないなあ」と悩んでいた場面(ツイートの感想でも読んだ記憶があります)、設定を2つ、オミットしました。これによって、物語がストレートになって、すっきり整理されたと思います。
③縦書き
まあ、これは当たり前の話ですね、私も横書きで書かれた紙の小説は島田荘司さんの『ネジ式ザゼツキー』、山口雅也さんの『チャット隠れ鬼』しか読んだことがありません。
ただ、縦書きのなかでも、この箇所は横書きのほうがいいのでは、字体を変えたほうが効果がでるのではと考えた箇所については編集者様にお願いをして字組みをさせていただきました(また編集者様からもご提案がありました)。私は折原一さんのミステリーを愛読しているのですが、折原小説には多彩な字体を駆使した傑作がいくつもあり、それがまた独特の効果を生み出していて、いつか自分もこういう本が出せればと憧れていました。この③については、今回の本で私が考える理想の最高形で表現できたと思います。編集者様には本当に感謝しています。
この項、少し長くなりすぎましたので、次の近況ノートに続きます。