スマートニュースコンテスト用に書き始めた『香りの魔術師』ですが、本編30話+後日談1話をUPして、このたび完結しました。
読んでくださった方、応援やコメント、★やレビューを入れてくださった方、本当にありがとうございます!(涙)
スマートニュースのターゲット層向け(おそらく20代~40代の社会人)、知識系、一話2000~3000字程度で、30話完結。という今まで書いた中でもっともキツいレギュレーションでしたが、なんとか書き上げられてホッとしています。
スマートニュースコンが始まったときは、その参加作品のラインナップと参加者を見て、自分が書けそうな社会学系のものはもう私よりも知識のありそうな方が書いているし、私が書けるネタはないかなぁと思ったのですが、たまたま職場から歩いて帰ってる最中に風間がふっと思い浮かびました。
本当にもう、しょっぱなから風間は風間してて、私がてくてく歩いている横に突然現れて、「僕を書けばいいんじゃない?」って言われた感じでした(笑)
で。自分が昔さらっと勉強したアロマテラピー検定1級2級で試験範囲になっている精油がちょうど30個だったので、これを一話に一個使うことはすんなり決まったのですが、プロットが決まっても、「この精油ってこの効果で良かったんだっけ」と悩むことが多くて、もう一回調べなおしたり……で、書いている時間よりも調べている時間の方が長かったような気がします。それで執筆は遅々として進まず、ストックもつきかけて途中かなり焦ったり。
途中で、話はそのままに、使う精油をごそっと入れ替えた話もありました。
でも、この話を書くというのを言い訳?にして、生活の木さんで精油セット買ったりして、楽しかったです!
毎回、その話に使う精油を実際使いながら、書いてたんですよ(笑)
ミルラは本当にすごい味だったw
さて。
『香りの魔術師』としての話はここで終わりですが、彼らの人生はまだまだ続きます。
実は、その後の彼らのこともいろいろ話はあるのですが、もはや精油とは何の関係もない話になってくるので、ご紹介がてら、あらすじだけ下記に残しておきます。
※ネタばれがあるので、必ず1話~30話+後日談をお読みになってから、ご覧ください。
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『後日談のその後』
石田恭介は、前科者を多く雇い入れているとある小さな会社に雇われる。そこの社長は、元・ヤクザものの桐生悟史という男が経営する、自動車輸入業などをやる会社だった。
恭介はそこで働き始めるが、すぐにその才覚と豊富な知識、人当たりの良さ、北京語と英語ができることなどで頭角を現し、桐生も一目置くようになる。
しかし、前科者が多いといっても、さすがに殺人をしている人間は恭介しかおらず、桐生とその妻・美月以外のほかの職員とはどこか壁を感じていた。
その会社には、桐生が拾ってきた場末で生きる少年少女も多くいた。その中に、愛琴(まこと)という少女も。彼女はほとんど教育らしきものも受けたこともなく、父親は知らず、母親はドラッグと男におぼれてネグレクトと虐待を受けて育った子だった。彼女がリスカしているところを助けたのが縁で、恭介は愛琴と親しくなる。そのうち、彼女の面倒をみたり、勉強を見たりしているうちに愛琴も恭介に懐いて、まるで年の離れた親子のようにして数年、一緒に暮らしたりしていた。
そんなある日、恭介は脳溢血で倒れる。
生前、恭介から自分に何かあったらここに連絡してくれと言付かっていた桐生は、そのメモを頼りに風間に連絡。
風間が駆け付けたときには、恭介は息を引き取ったあとだった。
恭介は出所してから10年ほどの間に、毎月生活を切り詰めて風間へ慰謝料を払い続けていた。それは数百万にのぼり、風間はそれを全額貯金してあった。それを使って、本人と約束したとおり葬式を出す。
葬式で、風間は恭介の棺に縋って泣きじゃくる愛琴に気づく。桐生から、恭介が生前、愛琴を娘のように可愛がっていたことを聞いた風間。彼は、亜里沙と相談して、恭介から受け取っていた残りの慰謝料を全額、愛琴に譲ることにした。
風間「僕は、金がほしかったんじゃないんだ。ただ……恭介に、事件のことを忘れてほしくなかった」
愛琴「忘れてなんかないよ! 恭介は、毎日、部屋のはじっこに台置いて、そこに水と花置いて拝んでたよ! 忘れるわけないじゃん!」
風間「……知ってるよ。だから。そのお金は君のために使うのが一番いいと、僕は思うんだ。受け取って、くれるかな」
結局。愛琴は、それを受け取り、自分の夢だった美容師になるための専門学校に行くことを決意する。
ちなみに。一度に渡すと譲与税の対象になるので、数年にわけて渡したのでした。