この世界で語られる宗教はテラ教であることが多い。異教徒はたいていカルト宗教か、神以外のものを信仰していることが多い。ハポン国は岩とかご神木とか山とか様々なものを神に見立てているので、他国の人間からは「変なことやってんぜあいつら」とか思われてたり思われなかったりする。なお、エルフ族は「森そのものを神に見立てるとかあいつらわかってるやん」と一定の理解を示している。
ほぼ全世界一神教のようなノリであるが、理由は至極単純で、主人公のフィオ君がいた元の世界の神様と違い、この世界の神様は「創造上のもの」ではなく「実在する世界の創造主であり保管者」であるからだ。そりゃ、いるものを「いない!」なんて声高に叫べば異教徒呼ばわりされて放逐もされますよ。ファナ・ジレットのように「異教徒は滅☆」なんていう過激派が存在するのもその辺が理由である。
ただし、介錯違いや宗派は分かれることがあるので、一枚岩というわけでもない。割とその宗派争いで世界が滅びかけたことがあるのでテラ教の神様(通称・足元の神様)が「お前らええ加減にせえよ。代理立てたからそいつの言うことを聞けや」と聖女を地上に数名設けたのである。作中に登場する聖女はファナ・ジレットのみであるが、遠い国には別の聖女もいる。出すつもりはないけど。これ以上出したら作者が開いた風呂敷をたためません。
ファナ・ジレットが選ばれた理由は彼女が狂ったように神を信仰していたからである。神様は「何かエキセントリックな娘だけど、これだけ熱心な教徒ならまぁいいか」と雑に決めている。神様にとっては自分が作った箱庭が崩壊しなければ割と誰でも良いのだ。なのでファナが必死に神様にラブコールを送っているが基本それは神様に届いていない。愚かだねぇ。そこら辺の、ある種の神様の「適当さ加減」に気づく歴史学者は定期的に現れるが、過激派に潰されるか焚書されるのがオチである。
ちなみにエルフの巫女とか転生者の主人公はバグである。人間でいうと背中に突如現れたシミのようなもので、神様も「普段から目に入るものでもないし、いいか」と修正する気も起きていない。ゲームで起きたバグを「仕様です!」と言い切る開発者のノリで神様は押し切っている。