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冗句。

歴史とは、地理である。

というと、異論百出するだろうなあ。
蜀はなぜ荊州を失い、漢中と益州を失わなかったかを考えてみると、なかなか面白いですよ。

16件のコメント

  • 軒下瑞燕さま


    はじめまして。
    妙なつぶやきでお目汚しでした。

    フェルナン・ブローデル『地中海』という本を手に入れてチラチラ見ていたのですが、脳に変な刺激があったらしいです(笑

    フェルナンさんによると、歴史は地形を含む自然の変動である長波、人口動態や技術・経済の発展および国家の盛衰のような中波、事件や人などの短波の三層構造から把握すべき、ただし、叙述は逸話の形式でしか記述できない、そうです。

    たしかに、そう考えると見えるものも色々ありそうだなーという、わりとゆるいお話です。



    〉経済を重視するには大河や海が必要

    地政学では生存適地というそうです。インダス川や黄河流域のような奪い合いになる土地ですね。


    〉武田信玄の領土拡張戦略の原点が甲斐の国が農地に向かなかった(山地が多い)ことにあった

    理屈は遊牧民の南下とざっくり同じハコに入れてしまいたくなります。


    〉織田信長が経済に明るいのは尾張の国が商業地帯に向いていたから

    畿内から東海や甲信越に抜ける咽喉として物や情報の流通が激しい土地柄ですし、濃尾平野を抱えた物なりのよいところでもありますね。先進地域。



    歴史が逸話の形をとるなら、甲斐や尾張の事情を記述するには、武田信玄や織田信長など人にスポットを当てるのは当然ですよね。
    他の方法だとグラフや地図になっちゃいますから。

    なので、背景となる中波や長波の中に置いて人を書くことが、歴史小説や評伝のキモというか、深みになっていくのでしょうねー、という感慨でした。

    しかし、よく考えると、小説全般同じでした。
    しかも話が長い。。。
  • 「崔浩先生の地政学講座」をやって地政学の勉強しようとしてた人間ですこんにちは。ちなみに途中まで書いて「あっ俺何やってんだろう」ってあきらめました。(そう言うもんを書こうとしない限り勉強しようとしないものぐさ人間)

    中国の地形、地政学に絡めて語れるようにはなりたいんですけれども、まだまだ漢江の流れ見て「やっべ―なにこのさも呉越の地に攻めてくださいみたいな川」とかハフンハフンする程度で止まってしまっています。資治通鑑とか宋書、晋書にある行軍ルートを地政学に当てはめて……とかをやればもっと面白いドラマもいろいろ見出せそうな気はするんですが。
  • こんばんは。

    〉「崔浩先生の地政学講座」

    それは面白そうですね。是非チャレンジを。
    っても、『中国歴史地図集』は概略ですし、やはり楊守敬『水経注圖』くらいは欲しいところです。
    ただ、高い。。。なんとかならんもんですかね。

    アレに進軍路を書くと色々見えてきますねえ。

    〉中国の地形、地政学に絡めて語れるようにはなりたい

    そうですよねー。
    やはり国境や戦場になる地にはそれなりに理由がありますし、国都になる都市もしかり、地理をやると歴史の見え方がホントに変わります。

    〉ハフンハフン

    ハフンハフンが過ぎると、冗談抜きでムダ遣いしそうになります。ヤバイ。ご注意。
  • 天地人というから、そんなものだろうと思う
  • 薛万徹さま

    はじめまして。
    薛萬徹大健兒,留爲國家效死力,豈不佳,乃坐房遺愛殺之乎!
    カッコイイですよねえ。

    そんな初唐は『隋唐演義』があるので接しやすくなりましたが、太宗後期以降は省かれ気味なような。白村江から入った身としては寂しい感じです。

    安能版は上巻しかなくて結末が分かりませんが、原書みたいに安史の乱までは描かれていないんでしょうね。

    〉天地人というから、そんなものだろうと思う

    有名な孫子の冒頭ですね。
    小物語にはやはり、人に偏りますよね。
    そっちのが分かりやすいですし。
    いきなり地図やグラフがあると、怯みます。

    引き続き、よろしくお願いいたします。
  • 河東さんにお聞きしたいのですが、軍の進路などを調べる時、路をどうやって把握されているのですか? 中国歴史地図集を見ても都市や河は分かりますが、当時の道は載っていません。

    現在の鉄道は参考にならないし、どういう通路があるかをどのように把握されているか、疑問に思いました。

    現在の道路のうち、トンネルを抜けたり山を切り開いた道路を除いた部分を当時の記述に残るものを当てはめたりされているのでしょうか?
  • まめ様

    こんばんは。
    当時の進軍路をどのように把握しているか?当然の疑問ですよね。

    都市間の繋がりについては、服部克彦『古代中国の郡県とその周辺』、青山定雄『唐宋時代の交通と地誌地図の研究』の2冊から把握を進めました。

    マクロな関係性はだいたい押さえられます。

    で、現代の地図や空撮も使いますが、道については時代に左右される道とされない道があります。山中を一直線に抜ける道は現代から、と思われがちですが、実際には「以前から道があったけど車が走りにくいから改良した」が大半です。

    ゆえに、交通路の概要は古代から現代までそんなに大きくは変わっていない、と考えています。日本も実はそうなんですよね。長大なトンネルができても、結ばれる地域は以前から繋がりがあるのがほとんどです。
    後は、進軍路には必ず水場が必要になりますから、水系を把握してそれをベースに道を考えています。そういう点でも『水経注圖』は便利です。

    ですので、私の把握は都市間に相互交通があるかが問題であって、細かいルートは重視していません。関や津がある場合は別ですが。

    ついでに、地理書では『元和郡県圖志』や『読史方輿紀要』の八達や相互の位置関係も参考にしています。当時の人が距離を残したということは、道があったということですからね。

    おおむねそんな感じです。もともと交通には興味があったので、気にしながら通鑑を読んでいたというのが一番大きいかも知れませんけど。
  • ありがとうございます。「正史や水経注をよく読んで、現代の地図を見て推測した」と言われるとどうしようもないと思っていました(笑)

    入りやすいとっかかりがあるのは助かります。まず、その二冊を読み、「中国歴史地図集」を比べてみます。

    私は資治通鑑は全く交通を気にせず、読んでいました。これで河東さんの注釈に対する理解が深まるなら、幸いです。

    中国の地理に対する思いと、把握のやり方、参考になるサイトや書籍、資料を近況ノートにされると面白いと思いますね。
  • こんにちは。
    ノートはまあ雑談くらいにしておきます。

    今はエクセルで地図を描くのが楽しいので、
    なんかもう一本地理関係のモノを上げられれば、
    面白いかも知れませんね。
  • エクセルで地図ですか? 細かいセルをたくさん作って、そこに色づけする形でしょうか? 時間はかかりますが、加工が楽そうですね。

    もし、そうだとしたら、実際の地図を画像を粗くして色を判断したり、1セルの長さを例えば
    1km四方をしてある意味では正確な地図にするとか、土地の高さを色づけで判断できるようにと、とても楽しみですね。

    地理関係の専門の中国史・三国志の記事は見たことがないので楽しそうです。
  • こんばんは。
    明日からはGWですね。来週イッパイお休みの方もおられますでしょう。よいGWを。

    〉細かいセルをたくさん作って、そこに色づけする形でしょうか?

    白黒です。
    本サイトで役立つ地図は白黒ですからね。カラー表現ができませんので、色をつけた瞬間に本サイト向けではなくなります。水部を青くするとか、理想的ですけど。フリーで使える白黒地図の提供が一番いいと思うのです。


    〉1セルの長さを例えば1km四方をしてある意味では正確な地図にするとか、土地の高さを色づけで判断できるようにと、とても楽しみですね。

    それは無理です。
    色の使用もさることながら、大縮尺の中国の地図は完全には公開されていません。よって、そこまで正確な地図は日本でも中国でも民間で作成することは難しいと思います。
    今でも中国は有事に備えた国家なのです。日本の地形図の公開が特殊例であることは、もう少し知られてよいかも知れません。
    地図は情報の塊です。発祥はあくまで軍事や徴税ですから、圖籍という通り、やはり一種の機密情報なのですよ。

    そういうわけで、中国の地図事情は日本とはかなり異なり、GIS利用が一般化した現在でもその種の研究が限られているのは、上記の事情によるものと思われます。なかなか厳しいです。

    歴史と現代の連続を感じますねえ。
  • なるほど。軍事関係の書籍で、「日本の地図は詳しすぎることが欠点。国防に不具合が生じる」と読んだことがありましたが、すっかり忘れていました。そういうことだったのですね。

    逆にそれなら地図は元々適当にならざるを得ないので、私がつくるとしたらセルを大きくするのがいいかもしれませんな。

    服部克彦『古代中国の郡県とその周辺』はamazonプライムで2,000円と安かったので買いました。服部先生は著作は、『北魏洛陽の社会と文化』というものがありますな。河東さんは所有していそうですね。

    青山定雄『唐宋時代の交通と地誌地図の研究』はamazonプライムでは高いですね。古本関係のサイトを見て購入します。青山先生は『読史方輿紀要索引・中国歴代地名要覧 』とありますが、これをどのような著書でしょうか。お持ちなら、ご教示お願いします。
  • こんばんは。
    地理はオススメしません。修羅道ですから。

    〉『古代中国の郡県とその周辺』

    先に申し上げますが、「これだけ読めばオマエ程度になれるか?」と聞かれれば、答えはNOです。
    地図をちゃんと見ましょう。

    しかし、縣名は歴史地図にない。だから『水経注圖』、という流れが一番ありがちです。

    〉青山定雄『唐宋時代の交通と地誌地図の研究』

    高いです。
    神保町なら4、5万はたかないとダメです。

    〉『読史方輿紀要索引・中国歴代地名要覧 』

    単なる現代の地名と引き比べた索引ですね。
    基礎知識=現代中国地理が頭に入ってないと無意味になります。

    地理をやりたい人は悲しいかな、それなりの覚悟を求められます。結局、地理書を買えるかどうか、という感じになるのですよ。わりと金次第です。
  • 河東さんは、相当、地理には拘りがあるのですな。理解しました。

    >「これだけ読めばオマエ程度になれるか?」
    >と聞かれれば、答えはNOです。

    それは当然ですが、分かっております。どの分野もそんなに楽ではないでしょう。

    私は、小説読みや試しに書いてみる形からはじまった歴史趣味ですから、「(小説として成立させるために)それなりに多岐にわたる歴史やその文化にかかる知識・理解は身につけているが、どれもさほど深くはない。そのため、実際の論説では強い説得力を持つ論説は展開できない。しかし、構造的な理解はそれなりにできているため、総合力としては低くはなく、粗が大きい論説を見つけそれを指摘することはできる」程度でしょう。

    漢文にしても、和刻本を書き下せるようになるのが目的ですしね。

    官職と地理はそれもできていないため、地理をご教授いただき、河東さんの注釈の意味を理解できる程度にはなりたいというのが目的ですね。また、手元に自作の地図があると、理解がしやすくなるし、ネットでの歴史解説に使えるから、そのためだけのものです。エクセルなら他の方も加工できるでしょうし。

    『唐宋時代の交通と地誌地図の研究』は調べたら、2万円程度で手に入るみたいですが、『古代中国の郡県とその周辺』をとりあえず読んでみることにします。

    しばらくは地理については、中国歴史地図集の地図に、こっそり路を書いて、手元に持つだけにしておきます。
  • こんばんは。
    なるほど、明確な目的があるのですね。
    拘りというより、使い物になるところまでの
    積み重ねにやたらに時間と金がかかるという
    点で問題がある分野だと思っています。
    あまり軽々にオススメできない感じです。

    官制と地理ですか。たしかに二つとも厄介です。
    時代によりかなり変わってしまうため、一時代を
    押さえてそれを水平展開できませんから。

    地理はまだましですが、河水の変遷などはそれが
    一つの研究ジャンルになるようなお話ですから、
    簡単にはいきません。というか、調べても尽きた
    感じが全然得られないのですよ。

    以下、ご参考までにどのように使ったかを。

    『古代中国の郡県とその周辺』
    安いことからも分かりますが、研究書というより
    概説書です。漢書と後漢書の地理志、郡国志から
    都市の性質を論じたものです。
    しかも、地図掲載がないので苦労します。

    最初は早稲田が公開している水経注圖を見ながら
    やりましたが、大変に使い勝手が悪いです。
    http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ru05/ru05_03617/index.html

    なので、書局が水経注圖を出版した際に購入して
    そいつを見ながら読み進め、ようやく空間把握が
    進んだ次第です。ただ、空間把握ができていれば
    大体の移動経路は推測できますから、その先まで
    進む必要はあまりないとも思います。

    交通史は隋前後でガラッと変わる面があり、
    漢から南北朝までならこちらで把握した
    知識でだいたい問題はないはずです。


    『唐宋時代の交通と地誌地図の研究』
    こちらは時代が降りますから、古代史に使うには
    先に空間把握と記事に残る移動の履歴から当時の
    交通をある程度押さえておく必要があります。

    その上で、唐宋代の交通や駅制から古代と変わり
    ない部分を抜き出して古代史の理解に肉付けする
    という利用方法です。

    よほど具体的に交通を知りたい、という必要性が
    なければ、不要だろうと思います。
    隋の大運河開削で河南から江南への交通は一変
    していますから、この点もネックになります。


    同じくお金を出すなら、『水経注圖外四種』(中華書局)の方がよほど役に立ちます。北魏頃の郡縣ですが、かなり詳しく地図に掲載されています。
    確か三万円しないくらいだったと思いますが、品薄なんでなかなか手に入らないんですよね。。。
  • 地理の理解についてのご説明、ありがとうございます。『唐宋時代の交通と地誌地図の研究』は、まだ必要なさそうですね。

    官制が歴史学の基本で、歴史マニアの人達がまず取りかかるところなのに私がやらないのは、もともと盛唐好きなので水平展開できないことを知っていることと、小説上ではそれをやると、ほぼ『間違いなく』読者が去って行くことを知っているからでしょうか。物語として楽しむためには、官制は不要という意識が強いです。

    エクセルの地図については、googleearthを使って、高度を決めて、機能にあるグリッド線をいれて1セルにあたる距離を決めて、国境と海岸にあたる部分のセルを黒く塗れば、現代の中国地図は、一応できるのかなと考えています。

    これから都市や省の境界、現在の主要な道路も色づけででますし、なかなかいいのかなと。とりあえずは1セル50km四方ぐらいでやって見て、当時と現在で同じ位置にある都市はそのまま入れてみようかなと考えています。そして、中国歴史地図集を参考にして修正すればとりあえずはできるのかな、試そうと思います。

    『水経注圖外四種』(中華書局)は、現在のところ、自分では無理っぽいので、それができてからまた考えることにします。
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