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JOCの“上から目線” 1

 12月1日、新国立競技場の完成のニュースを聞いて神宮外苑へー。
銀杏並木の色づきやW杯ラグビーの盛り上がり直後の関東大学ラグビーリーグ、早明全勝対決なども重なり、大変な混雑でした。

 夕日を受けて輝く新国立競技場は予想外にまだ工場用のビニールシートに覆われていて外観が見えるのは上側部分だけ。初冬という季節のためか、競技場周りを彩るはずの植栽にも青々とした葉は見られずどことなく寂し気な様子。まあ、大会直前の初夏には新緑に飾られることでしょう。

 さて、気になったのは競技場の南側に立つ真新しいビル。五輪マークのモニュメントも建つそのビルは東京オリンピックミュージアム。今年9月にオープンしたという施設は新国立の完成というタイミングもあり大盛況でしたが、一番人気は五輪の歴史や魅力を紹介した屋内の展示ではなく、入り口脇に設置された五輪マークのモニュメント。家族連れやカップル、外国人観光客らが入れ代わり立ち代わり記念写真に納まっていました。

 問題はミュージアム担当の能天気な対応でした.。
五輪マークのモニュメントを見た途端に気づいたことですが、パラリンピックの三色のシンボルマークのモニュメントは入口周辺にはありません。続々と入場する観客にご満悦そうな白いスタッフジャンパーを着た担当者に、
「パラリンピックの展示物はないんですか?」
と尋ねたところ、
「ないです。全然違いますから」
「は?」
「オリンピックとパラリンピックは組織も全部、全然違いますから」
応答マニュアルのような飛び切りの笑顔で答えてくれた。
「では、パラリンピックのミュージアムは別にあるんですか?」
「ありません。全然違うんで」
JOCとJPCが別組織であることなんか百も承知だ。
まさか、こんな応対をされるとは思ってもいなかったので録音などはしていなかったが、愕然とした。恐らく、この担当者は自分が何を話しているのか、気づいていないのだろう。同じ質問を障害を持った来場者から訪ねられたら、どう答えたのだろうか。パラリンピックには鑑賞に値する歴史や資料、記録もないと言いたいのだろうか。

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