今、物事を考えるのに、文明というのがとても便利な用語だと思います。なぜなら自然や人間、社会の様々な事柄について論じる時、必要かつ十分に総合的で、政治論争の恐れも少ない、最も有効で中立的な概念だからです。
文明とは、人間と他の生物を分けてその生命活動を説明する、最も大きな区分を示すと共に、科学・政治・経済・社会・文化など様々な人間の活動を全て論理的に組み込んで説明できる、有益な概念です。
『文明の衝突』や『我国の○○進出は人類文明発展に貢献する』などのように使われてしまうこともありますが、一番大きな意味で使えば、基本的には特定の活動や地域、組織に囚われない最大公約数的な概念であり、これなら万一宇宙人が来ても、安全に共通の話題にできるので大丈夫（笑）です。
今、人類は地球というひとつの自然環境的な限界に到達し、社会もひとつにまとまりつつあります。我々が何を調べ、考え、行おうとするにしても、『我々人類とは何か、どこからきて、どこへゆくのか、それにあたってどうするべきなのか』を、総合的・全体的に考えてあたらざるを得なくなっているのではないかと思います。その時、この言葉はとても役に立つのではないかと思います。