もうすぐ私はある一つの未来に立ち向かいます。
その結果、五体満足でいられる保証はありません。というか命を落とす可能性の方が高いのかもしれません。
なので、いま。ここに残しておきます。
不確定であやふやなことを最後になって書くというのも皮肉なものですが……私にとって最初から決まっていたこと、と強がっておきましょう。
私には未来視の能力がある、と思っていました。
英語でいうとタイムトリップ。視界の先、数分から数十秒後、あるいは数年後の未来が一瞬だけ映像として見えてしまうもの。その殆どは些細なことです。雨が降るから外出を避けたり、犬に吠えられるから別の道を歩いたり。ここまでは予想の範疇。普通の人間とあまり変わらないのです。
……他人の側面を少しだけ切り取って見れれば、予めその人がどんな価値観を持っていて傍にいるとどんなプラスとマイナスの要素があるか。最初から分かります。それは社会で生きている限り反則的に無敵ですよね。
人が生きるうえで経験する多くの事象、そこに付きまとう数々の挫折や絶望。いわゆる人生の落とし穴を事前に察知し、ハマることが無ければ……私と私の周りにいる人は不幸を回避できる。そう思っていました。
しかし私が未来を予知できるというのは勘違いでした。
正しくはタイムリープを起こせる能力だったのです。つまり未来を予知できると思い込んでいたのは、未来にいた記憶の断片が蘇ったに過ぎない。全てを理解するにはもう遅すぎました。
未来視は絶対です。普通の人には変えることは出来ません。未来に起こることを正しく認知しているものだけが介入し、別の未来へ導くことが出来るのです。
それを踏まえて、もし。仮定の話ですが。
もしも人の死に関する未来が視えてしまったら、貴方ならどうしますか?
他人ならいざ知らず、貴方の思い描く大切な人が……死ぬとしたら。
また 助けようとする上で
どこまで失うことを許容しますか?
https://kakuyomu.jp/works/16817330658950451763