瀬谷酔鶉

　春の夜明け前、陶美和（すえ・みな）が目を覚ますと、窓の外のベランダに人の気配があった。ベランダから美和の部屋の屋根に上ったらしい。侵入者は何者だろう？ 美和はベランダに出てその…

　八木桜は人より感情の波動が少ない少女であった。学校ではいつも猫をかぶって誤魔化している。生きていても面倒くさいだけ──ある日、彼女はとあるビルの屋上で自殺を計らったが、自分のド…

休日に偶然出会ったクラスの同級生の女子と船長ごっこしながら未知の日常を送る話です。 因みに初めてコンテストに応募しますが、受かる受からないよりも応募する事が目標です。 短い応…

おまえが死んだと聞いて、おれはもちろん悔しかった。 だが、もっと悔しかったのは、死んだ次の年に、おまえの全集が出た、ということだ。 そして、その全集の、今度出る巻には、銀河の夜行…

　愛（あい）がショッピングモールから出たら、外は雨だった。傘は持っていない。困り果てる愛に傘をさしだしてくれたのは、ライバル校瑞城（ずいじょう）女子の生徒倉垣千幸子（くらがき・ち…

家族共々とある離島に移住してきた藍原希央（あいはらきお）は、順風満帆な離島ライフを送っていた。ところが、同級生の折谷菜音歌（おりたになのか）に嫌われていた。 心当たりはなくモヤ…

私（佳世）にとって、恋は出会うまでも維持するにも別れるにもひどくエネルギーを使い、振り回されてしまうもの。 それならばひとりで平穏に日々を過ごしたいと思い、恋をしなくなって三年が…

めがねさんに呼び出された『僕』は、 「今からこのメガネがクトゥルーであることを証明します」 と言う、めがねさんのヘンテコ話に付き合わされる。

私が選ばなかった彼は、他の誰かを選んだらしい。 氷菓を齧りながら、煙草臭い電車に揺られて田舎へ帰る。 幼馴染の葬式に行くのである。

犀川 よう様の自主企画 「さいかわ水無月賞」参加作品。テーマは「雨」 ある日、Webサイトの広告の片隅に懐かしい言葉を見つけた。 いくら探しても見つからないその言葉を探すため、…