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還りくるもの

 レディ・ガガの『The Dead Dance』MVを見て(きっかけは『ウェンズデー』の2期エピソード。登場人物が『The Dead Dance』を踊るのです)、あっこれは『ユニコ 魔法の島へ』……! と思いました。

 私が生まれて初めて観た映画が『ユニコ 魔法の島へ』だったそうで(母曰く。歳がバレますねえ)、手塚治虫作品には思い入れがあり、語り出すと止まらないので別の機会に譲ります。“魔法の島”が何を指すかというと、人間たちの捨てたものが流れ着くところです。私はどういう訳か、捨てられたオモチャが辿り着く場所のように覚えていました。ユニコに助言する木馬や、操り人形のなれの果てである悪い魔女の印象が強かったのでしょう。

 幼な心に「そんな大事なものでも捨てられちゃうんだ」と思いました。子ども時代、はな身離さず持っていたオモチャだって、忘れられちゃうんだ…… 私がオモチャなら、悪い魔女のように人を憎く思うだろう。かわいそうだ。報われない。そういった嘆きや哀しみは、本当に魔法の島にいきつくのだろうか。

 何千年の歴史があって、一人ひとりが抱いてきた思いの積み重ねは、膨大であるはず。王侯貴族など特権階級や英雄であれば運良く記録されるかもしれないけれど、その他大勢の人たちの思いは、どこに流れていってしまったのだろう。私は魂というものをあまり信じていないのですが、”思い“というものが脳でつくられるとして-シナプスを巡る電子であるとして、身体が失われた後にも、《《この宇宙》》を駆け回る電子に混じって循環している。そう思うと救われた気がするし、目に見えないだけで、私たちは過去からの思いに抱かれているのだ、と思うことにしています。SFっぽい〜…… すみません。(事実関係ではなくて、私はそう思うようにしているということです。)

 ……ですので、インターネットで書かれた言葉も、どれだけ時間がかかろうが、知らないどこかに残っていると思うのですよね。システム上ではアノニマスでも、いつか自分の言ったことは自分に還ってくる。何億の聞こえない物語が、見えない目が、私たちを見ている、のではないかと感じます。

ポート・マッコーリーのビーチ

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