最近将来について考えなければならない機会が増えてきた。以前から将来の夢は決まっていたので思い悩むことはなかったが、もしもこのまま仕事がうまくいって良い収入を得られたとしても、その人生に充実感と幸福感があるとは言い難いだろう。おそらく絶対、私は今後の人生でも空虚を抱えて生きていく。
収入は安定し、お気に入りの家具を揃えた広くて綺麗な部屋に住んでいる。何一つ不自由はなかったが、埃ひとつない家具に囲まれても私の中にあるのはただひたすらに空虚感、それだけだった。隣に居て欲しかった人を隣にとどまらせるだけの勇気と自信が私にはなかった。
どこかの国へ旅行に行って綺麗なオーロラを見ても、私が感じるのはやはり空虚だろう。高級レストランも、大都会の夜景も隣に誰もいなければそれらは空虚を膨らませる材料でしかないのだ。それに比べれば、どぶの中で月を見上げる男の子と女の子の方がずっと幸せに見えた。
と、こんなふうに想像しているせいで将来に全く希望をもてない。空虚を育てる為に将来の夢を叶えるのだろうか、そんな人生はちっとも面白くないだろう。「いつか」出会える「かもしれない」運命の人なんて、生きてるうちに会える確証はないのだ。そんな「かもしれない」を信じて年老いるまで生きていくことを覚悟するだけの勇気は持ち合わせていない。