教室に現れた転校生、矢野梓は、
静かで、美しくて……そしてこの世界の空気じゃない少女だった。
授業中、微動だにしない横顔。
何かを探すようにクラス全体を見渡す瞳。
私に向けられた一言は――
「虚木真弓さん。……気をつけて」
放課後の文芸部では、怪談アプリ「にくゑさま」が話題に。
境界のない村、消える人々、溶ける街。
全部ただの作り話のはずなのに――それは私の夢と同じだった。
転校生。
怪談。
そして、窓の外に張りついていた黒いコートの探偵。
日常はまだ崩れていない。
でも、ひびは確かに入っていた。
終焉の探偵第六話「怪談アプリ」
https://kakuyomu.jp/works/822139840108551010