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太宰治『雪の夜の話』と数字

「雪の夜の話」では、「二」がという数字にまつわるものが反復されている。
 一つ目として〈中野の叔母さんから〉もらった〈スルメ〉がある。〈私〉は〈スルメを二枚お土産にもらって〉いる。
 二つ目は、〈お嫂さん〉の様子。〈お嫂さん〉は、妊娠しており、〈おなかの赤ちゃんと二人ぶん食べなければいけない〉と〈私〉は言っている。
 三つ目は、〈お嫂さん〉の部屋に登場する。〈お嫂さん〉が、〈私〉の(兄さんに〉、〈綺麗なひとの絵姿を私の部屋の壁に張って置いて〉欲しいと〈笑いながらお願い〉すると、〈孫次郎というあでやかな能面の写真と、雪の小面という可憐な能面の写真と二枚ならべて壁に張りつけ〉るのである。

 ここから分かることは、〈二枚〉、〈二人〉という「二」にまつわるモチーフは〈お嫂さん〉に関係しているということである。
 一つ目の例で挙げた〈スルメ〉は〈お嫂さんにあげようと思っていた〉ものであり、〈お嫂さん〉は妊娠したことにより〈スルメか何かしゃぶりたいわ、と〉思うようになった。二つ目の例として挙げた〈赤ちゃん〉は〈お嫂さん〉の〈おなか〉にいる。三つ目の例で挙げた〈写真〉は〈お嫂さん〉の〈お願い〉によって、〈胎教〉を目的として貼られたもの。
 このように、「二」は〈お嫂さん〉に関係していることが確認でき、さらに〈お嫂さん〉が妊娠していることとも関係している。

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