■ あらすじ
□ 全体概要
SOLARISと呼ばれる物語世界に介入する「記述士」として、14歳の少年ハルツキの成長と変容を描く物語。理解すればするほど内側に「殺意」が降り積もっていく彼が、やがて零級犯罪者として収容されるまでの軌跡を追う。
□ 第一部「記述士選考最終試験」
Morphospecta(潜在現実観測機関)の記述士試験で、ハルツキは前例のない速さと精度で危険な物語(VOLTEX)を「凍結」し合格する。最年少記録での配属となった彼は、ユキヒラ・ハクトとタカミネ・リオと共にSnow Heartチームを結成。初任務「追憶の檻」、そして「亀裂」と呼ばれる物語で殺意に魅入られた兄弟の物語に介入する中で、ハルツキは完璧な仮面の下に確かな変化を感じ始める。
□ 第二部「不叶の人形は永遠の愛を問うか」
ある研究所の教授による会見放送中の事故が引き金となり、大規模な「漂流」が発生。ハルツキは独自の判断で漂流者を救出するため、教授のSOLARIS「シムラクルム・アモーリス(愛の象り)」に単独で侵入する。そこは巨大な人形が建設され続ける銀色の街で、「存在に関する疑問」が禁じられていた。クアエレンテス(問いを持つ者たち)と出会ったハルツキは、街の管理者アルゲンタムの執行官たちと対峙しながら、この街の謎と漂流者救出の方法を探っていく。
■ 登場人物
□ 主要人物
・キリヤ・ハルツキ (14歳)
Morphospecta VORTEX対策部機動戦術部隊Snow Heartの記述士。「moon child計画」の第六世代実験体として人工SOLARISで育成された特異体質を持つ。冷徹な分析力と観察眼を持ち、物語を深く理解する能力が高い。
・ユキヒラ・ハクト (24歳)
Snow Heartチームリーダー。優れた共感力と理解力を持ち、凍結よりも改訂を優先して考える理想主義者。ハルツキに人間性の大切さを教え、導く存在。
・タカミネ・リオ(22歳)
Snow Heartのメンバー。ハルツキより1年先輩の女性記述士。知的で冷静な性格だが、温かみも持ち合わせている。チーム内でバランサーの役割を果たす。
・黒猫
ハルツキの「語り手」として常に彼に寄り添う存在。通常は他の人には見えず触れないが、第二部ではルナリアが触れることができる。物語の重要な局面で道を示す案内者でもある。
□ 第二部の登場人物
・ルナリア
2年前から「シムラクルム・アモーリス」に漂流している少女。クアエレンテスのメンバーであり、他の規定外存在(漂流者)と接触・救出する役割を担う。黒猫に触れることができる特殊な能力を持つ。
・アイリス
クアエレンテス「問いを持つ者たち」のリーダー。冷静で知的な女性。
・ラウレンツ
クアエレンテスの技術者。「オブリビオンコード」など、存在値システムを回避する技術に詳しい。
・イグニス
クアエレンテスの行動派メンバー。ハルツキに対して複雑な感情を抱いている。
・アルゲンタム
シムラクルム・アモーリスの管理者。愛する人を失った後、その永続性を求めて巨像の建設と街の完璧な管理を続けている。ミヤマエ教授の自己投影。
・クリスタロス (EN-127)
「白銀の監視者」と呼ばれる特別執行官。冷静沈着な性格で、反射を利用した特殊な戦闘能力を持つ。
・ミルタ (EXC_Myrtha)
漆黒のドレスに身を包み、「永劇」を司る花嫁として知られる特殊な人形。最優先レベルの脅威を排除する任務を負う。
■ 世界観設定
□ 基本構造
・三層構造
1. 現実層:物理的な世界、明確な物理法則に従う
2. SOLARIS層:物語が具現化する層、記述士による観測・凍結が可能
3. ORIGINS層:人類の集合的無意識が形成する最深層、直接的な観測は不可能
・Morphospecta(潜在現実観測機関)
SOLARISと呼ばれる集合的意識の層を観測・管理・制御する特務機関。危険な物語(VOLTEX)を特定し、凍結することで現実世界の安定を守る。
・組織構造
- VORTEX対策部:危険と判断された物語への対策を担当
- 機動戦術部隊(TSU):記述士による実働部隊
- Snow Heart:正面からの理解と凍結アプローチを得意とする主力戦術チーム
- Scarlet Blade:速攻型精鋭チーム
- Azure Phantom:潜入偵察型チーム
□ 技術と装備
・シフター
Synthetic Ontological Narrative Analysis and Transmission Apparatus(SONATA)の略。記述士の最重要装備で、SOLARISとの接続や凍結プロトコルの実行に使用する。
・トリガー
物語の核心であり、力の源。詩的な言葉の形で表現され、記述士はこれを特定・詠唱することで物語に干渉できる。
□ 特殊用語
・SOLARIS
Synthetic Ontological Layers of Alternate Realities in Subconscious(潜在意識における代替現実の合成的存在論的層)の略。人類の集合的意識が形成する物語の層。
・VOLTEX
Volatile Ontological Realms Threatening EXistence(存在を脅かす不安定な存在論的領域)の略。危険な状態にあるSOLARIS。
・凍結
危険なSOLARISの活動を停止させ、現実世界への影響を遮断する処置。
・改訂
物語の本質を理解し、より良い結末へと導く方法。
・moon child計画
生後の子供をSOLARISに漂流させ、特殊な精神発達を促す実験計画。ハルツキはその第六世代実験体。
□ 第二部シムラクルム・アモーリスの設定
・基本構造
- 巨像を中心にした円形都市
- 銀色の街並みと人形たちによる管理体制
- 「存在に関する疑問が禁止」という独特の規制
・存在値システム
- 人の存在を数値化する管理システム
- 「存在への疑問」を持つと存在値が低下
- 存在値が低下すると「形成修正」という名の矯正が行われる
・人形
- 銀色のドレスを着た量産型
- 巨像を建設・維持するために働く存在
・クアエレンテス(問いを持つ者たち)
- 街の秩序に背を向けた反体制組織
- 「オブリビオンコード」など存在値システムを回避する技術を持つ
- 漂流者(規定外存在)を保護する活動を行う
■ テーマ要素
□ 主要テーマ
- 理解と殺意の関係:理解すればするほど内側に降り積もる「殺意」という名の感情
- 存在の意味:「在る」ことの本質とは何か、記録されることと存在することの違い
- 物語と現実の境界:どちらが「本当の現実」なのか、観測者と被観測者の関係性
- 愛と永遠性:永遠を求める愛は歪みを生む、変化を受け入れることの重要性
- 問いを持つ自由:疑問を持つことで存在が脅かされる矛盾、真の理解への道
イラスト付けようとしましたが、画力が無くて、手も足も出ませんでした。
すみません。