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映画Human Lost 人間失格を見ての感想

まず、私の映画に対する観方を示しておきたい。私は映画は購入したDVDではなく、映画館で見ることにしている。それは映画と言う芸術が自分の中で有限たる物になるからだ。映画館で映画を見ると、上演後ほんの1,2時間経てば、映画の大まかな内容は覚えていても、細部の描写は忘れてしまう。それを損だと感じる人もいると思うが、私はそうは思わない。逆にそれによって二倍楽しめると思う。記憶の断片的欠如によって、自分の感性でその穴を埋める事ができ、後で作品を自分なりに楽しめるからだ。映画を見ている最中の作品の印象は似たり寄ったりだが、この楽しみ方をした作品の印象は他者とはまるっきり異なっている。そこに私は価値を見出したのだ。

長い自分の話はさておき、感想を述べたいと思う。これは個人的な感想である為、鵜呑みにだけはして欲しくない。感想の観点は3つ。五段階評価で言うと

・面白さ     3
・映像美     4
・メッセージ性  5

詳しく話をしていこう。

まず率直な面白さだが私は面白いと思った。しかし、人によっては面白くないという感想を持つ気がした為、中間の評価をつけた。というのも、まずジャンルがSFという点がそうさせている。映画の中で新しく作られた用語が飛び散っていた。SFというジャンルが抱えている一つの課題とも言える。難しい用語に気が散ってしまう人からしてみれば、映画の内容どころではない。当の私はSFが好きな事もあり、あまり気にならなかった。ノベライズされたものを読んでいたせいかもしれないが。だから、この作品は人を選ぶのではないかと思った。一度見て、よく分からなかったという人は是非ノベライズ版を読んでいただきたい。本なら自分のタイミングで用語を消化できるから苦を感じることもあるまい。

次に映像美だが、これも人を選ぶのではないかと思った。しかし、単純な美しさを評価すると全体的に良かった。3Ⅾイラストが採用されていた為、迫力は満点だったし、背景の描写、人物の表情などが豊かだった。しかし、3Ⅾイラストに抵抗感がある人も少なくない。だから、5ではなく4なのだ。

最後にメッセージ性だがこれは自信を持って5をつけれる程に素晴らしかった。現在、医療発展によって長寿が良い事だと健康である事が良い事だと思われる時代に一石を投じた作品である。肉体ではなく精神という面で長寿である事が良い事なのか悪い事なのかという投げかけを見ていて感じた。個人的な考えになるが、私は先程の映画観においても言った様に有限であるから価値があるのだと考えている。その私にこの作品はそれを再認識させた。命は有限であるべきなのだ。限りがあるから我々は生きて来られているのだ。これを読んでいる人の中にも老後が心配だという人がいるだろう。それが前記した説の証明だ。精神が叫びをあげているのだ。「命は有限であるべきだ」と。人は完全、無限に耐えきれない。欠けているから、有限であるから、我々は生きられたのだ。

総評するとメッセージ性の強い見る人を選ぶ作品だった。メッセージが刺さる人間にはとても有意義な作品、見るべき作品だと思う。

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