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怖い夢を見ました。

——これは私が実際に見た夢の話です。
暑く寝苦しかったとはいえ、何と恐ろしい夢を見たものか……。

夢の中で私は、固く扉を閉じた玄関の床にうずくまっていました。
扉の脇にあるモザイク調のガラス窓から外が見えます。白と灰色のタイルが敷き詰められた玄関ポーチには、江戸時代の旅装束を着た暗い顔のお坊さんが三人立っています。彼らの背後には、ピンク色のミニスカートを履いた三人のギャルたちが、敵意に満ちた眼差しでこちらを睨んでいます。

心臓がドキドキして落ち着きません。ただ「怖い」と、そう思いました。彼らは絶対に家の中に入れてはいけない。

私の小さな弟が、居間から走り出て来て好奇心のまま扉を開けようとしましたが、私は何とかその足を捕まえて抱きかかえ、「ダメだよ、タイセイ。大人しくして。あの扉は絶対に開けちゃいけないんだよ」と呟いていました。誰も相手にしなければ、彼らは諦めて去るだろう。そう思っていました。

ところが、です。
旅装束のお坊さんたちは突然ガラス窓を外しました。(割ったのではなく、ドライバーか何かで窓枠のネジを緩め、ガラス部分を取り除いたのです)そこには人一人がゆうに行き来出来るだけの隙間が開きました。ギョッとする私を曇った瞳で見据えながら、彼らは無理やり玄関の中へ踏み行ってこようとするではありませんか……

「やめて!」私は瞬時に立ち上がり、その隙間から外に走り出ました。
彼らは私に銃のようなものを向け、無言のうちに脅して来ます。でも私は怯まず、彼らをポーチから庭へ押し出すつもりで前に両手を伸ばしました。

「入らないでください! 絶対に入らないでください!」

彼らは私の剣幕にたじろぎ、後退りしました。その時、私の足元には一匹のスズメバチが飛んで来ていたですが、私は「刺されてもいいや、こいつらを外に押し出せるなら」と覚悟を決めていたので怖くもなんともありません。(いつもなら悲鳴をあげて逃げ去る所なのですが)

私は彼らの暗い顔をひたと見据え、「入らないでください!」と繰り返しました。





目が覚めたのはその時です。

私は普段から「夢解釈」というものに凝っているので、この悪夢には心底震え上がりました。
夢解釈の世界では、「訪問者」(玄関に入ってくる人)は、夢を見た人の人生に何か大きな出来事がやって来ることを告げるメッセンジャーであるとされます。その人物に好印象を抱いた場合は、良い知らせが来ることを意味し、嫌な印象を抱いた場合は、悪い知らせが訪れることを意味します。
私が夢で見た人々はとても暗い顔をしていましたし、私に敵意を抱いているようでした。また、江戸時代の格好とはいえ、私は彼らのことをしっかり「お坊さん」だと認識していましたから、これは明らかに凶事を意味していると言えます。あまり考えたくはありませんが、多分、私や家族の命に関わるようなことでしょう……

しかし、私は彼らを一歩も玄関(家)に入れませんでした。それだけは絶対に許せないと、強い心を持って追い返したのです。
だから、きっと現実に訪れようとしていた凶事も跳ね返すことが出来たでしょう。
——そうであって欲しいと考えています。

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