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    百魔剣物語

     アヴァロニア大陸。  かつて、剣と魔法で繁栄した広大なこの大陸を、圧倒的な魔法の力でひとつに纏め上げた王国が存在した。  その王国は、大陸統一後、自らの権威の象徴として、魔法の力を宿した剣を、百振り作らせた。  やがて王国は崩壊の時を迎えるが、それ以後も百振りの剣たちはその魔力ゆえに永遠に失われることなく、また、その魔力ゆえに様々な伝説を残した。  あるものは聖なる剣として、勇者の手に握られた。  あるものは暴君の傍らに置かれ、多くの血を吸った。  そうして時は流れ、徐々に人々はその伝説すら忘れて行った。  統一王国の崩壊と共に、大陸は再び分断され、国という単位で争いあう時代へと逆戻りしていた。  アヴァロニアの西方、大陸最大の信徒を持つ宗派『天空神教』が根付く神聖王国カレリアも、この戦乱の世にあって、無関係ではいられなくなっていた。隣接する軍事国家ファラの国境侵攻を受け、聖戦を宣言。東方の最前線では既に戦端が開かれていた。  このような時代に、人々にかつての伝説を思い起こす余裕はなく、そもそもそのほとんどが失われた現状では、忘れ去られていくに等しいものであるはずだった。 『天空神教』の高司祭、神託によって前最高司祭、ラトーナ・ミゲルから見出された少女、シホ・リリシア。その人がいなければ。

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