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関東大震災

書き物をしていて、関東大震災の事を調べる機会があった。
最近騒がれている近い将来起きるかも知れないやつでは無く、1923年9月1日に起きたやつだ。

ちょっとびっくりしたのが、もう百年も経っているって事だ。
というのも、私のおばあちゃんの姉(妹だったかも知れない)は、どうやらこの震災で亡くなったと言われている。

言われているってなんだよって話だが、ご遺体が見つからなかったのだ。
帰って来ない。恐らく巻き込まれたのでは無いか。
それ以上はどうにもならず、仕方なくお墓に名前だけ彫ってある。
震災当時彫られたのでは無く、私が三歳の時、おばあちゃんがお墓に入った時に一緒に彫ったのだ。
「何処かで生きているかも、と考えると、彫れ無かったのかも知れない」
そんな話をしていたものだから、関東大震災ってもっと最近の事だと思っていた。
(ちょっと考えれば、第二次世界大戦の前だから当たり前なんだけど)

おばあちゃんのお姉さんが生きていた頃は百年も前なのか……
そう考えると、百年前というのも案外近い日付に感じる。
おばあちゃんも生前、「震災の時はあの辺まで水が来た」と話していた。

死者105,385人。
うち九万人程は火災でお亡くなりになっている。

おばあちゃんのお姉さんは、もしかするとこの数字には入っていないかも知れない。
燃え方があまりに凄まじかったから、恐らく住民票を頼りに何とか出した数字では無いだろうか。
残念ながら、火災で亡くなった多くのご遺体は、身元を割り出せ無かったと思う。
その場にたまたま居合わせた人まで把握出来るような状態では無かっただろう。

何となく悲しくなってしまった。
顔も知らない、遺影すら無い大叔母。

その最期がどういうものだったのか、結局の所誰にも分からないのだ。
どうか安らかに眠ってください。
そう祈るしか無い。

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