拙作をお読みくださる皆様がた
佐藤宇佳子です。いつも拙作へお越しいただき、ありがとうございます。
さて、なんちゃって弓道小説を書き、弓道の魅力にすっかりとりつかれた佐藤ですが、実はきちんとした競射会などは見たことがありません。機会があればぜひ見たい、と常々思っていたのですが、本日ようやく、その一環として笠懸を見ることができました。
笠懸は、流鏑馬、犬追物と並ぶ、騎射三物(きしゃみつもの)のひとつです。疾走する馬上から的を射ます。笠懸は流鏑馬のように馬上から水平方向左方に矢を射るだけでなく、左下の的を射たり、さらには体をねじって右下の的を射たりもすることから、より実践的と言われています。日本で笠懸が見られるのは、基本的に年に二回、春の道寸祭りにおける笠懸と秋の上加茂神社の笠懸神事だけだとのこと。今回、五月十九日に行われた道寸祭りの笠懸を見学してきました。
道寸祭りとは、神奈川県の三浦半島を治めていた三浦一族の興亡を偲ぶ祭りで、供養祭に引き続き、三浦一族のお家芸とされてきた笠懸が行われます。今年の射手は八名、うち女性三名、馬は五頭、数頭サラブレッド、数頭は和種の血が混じった馬という構成でした。
三浦半島は油壷の荒井浜海岸で行われる笠懸は、とにかく混雑が少ないです。鎌倉の流鏑馬にも興味はありますが、恐ろしい人込みが予想されるので、まず行かないと思います。ですが、この道寸祭りは、人混みが苦手な私でも、ゆっくり見られるくらい、のんびりした人気具合でした。
それでいて、笠懸の迫力は半端なかったです。三歩も歩けば馬場という至近距離から、疾走する馬や馬上で弓を引き絞る射手を見学できました。いや、本当に、馬が駆けてくると砂がかかる距離です。的の板にうまく鏑矢が当たると、ぱあんと小気味よい音を立てて板が割れます。
一方向に疾走して終わりの流鏑馬と違い、笠懸では往復して、大きな的と地面近くの小さな的を狙います。この小さな二つの的のうち、ひとつは馬手筋違(めてすがい)といって、左手に弓を持ったまま体を大きく右にねじり、右下の的を狙います。これがまた、かっこいいんですね。もう一つの的は左下にあり、弓手筋違(ゆんですがい)となります。下に上げた写真は弓手筋違の様子です。
弓道、いいですねえ。ますます弓道愛が深まった一日でした。普通の弓道の競射会もどこかで見られるといいんですけどね。
しばらく弓道小説を書く予定はないのですが、どこかで騎射を取り入れた作品も書けるといいなと思います。