岡山には吉備津神社と吉備津彦神社という、紛らわしいにも程があるふたつの神社がありまして。
どっちも吉備津彦さんを祀っているんですが、吉備津神社の方が圧倒的に広いし有名らしいし参拝者も多い。
ちなみにここは備中一宮とやらで、この「一宮」てのがなんでもその地方の一番でかくて権威あるお宮ですって意味らしいよ。
そんな吉備津神社は後回しにして、最初に向かったのは吉備津彦神社のほう。こちらのどかな田舎の風景の中に溶け込むように建っていて、お天気も良くて、気持ちのいい場所でした。
門前で神社のいわく因縁…もとい、縁起を読んでいたら、「よろしければご案内しますよ」と声をかけてきてくださったのはボランティアガイドの方。
せっかくなのでお話を伺う。
「桃太郎とされている吉備津彦命というのは、当時温羅という鬼に支配されていた吉備の国を治めるために、朝廷から遣わされたんですよね。温羅というのは鬼とされてますが、実際は元々吉備を治めていた一族で、大和朝廷が侵略戦争をしかけてきたと」
…ちょちょちょ笑
え、待って、ガイドさん今「侵略」て言いました?
明らかに桃太郎さん
そうなんですよ。
ガイドさん、書いてること説明してるだけなんですが、ちょいちょい言葉の端々に、温羅びいきが見え隠れするんです笑
なるほど、幼稚園児から刷り込まれる正義の味方の代表桃太郎さんも、地元岡山では(むしろ地元なのに)扱いが少々異なる様子…
思いがけず「温羅」に興味を抱いた、これが始まりの出来事でした。
ちなみにガイドさんは昔は学校の先生をやっていらしたとか。
無料で色々教えてくださるので、時間に余裕があればぜひお話聞いてみては?と思います!
このガイドさんの話を聞かなかったら、この小説は書けませんでした。
出会いって奇跡。
(写真は駐車場の脇にいたユルい桃太郎氏)