近藤史恵著『マカロンはマカロン』(2016年 東京創元社)読了
フランス料理店を舞台に日常の謎を扱った短編集で、表題作の「マカロンはマカロン」はパティシエの失踪と、焼き菓子と共に送られてきた「マカロンはマカロン」というカードに込められた真実について扱っている。
パティシエの勤め先として、男社会である料理人業界に風穴を開けるべく女性スタッフで固めたレストランが出てきて、最後まで読んだ感想が「ツイッターのフェミニズム界隈と対立している"保守”界隈は不満が出そうだな」というものだった。
個人的にはツイッター上のフェミニズム界隈も問題のある人たちが多いが、それと真っ向から対立している陣営もまた、ちょっと不寛容で、どちらかと言えば戦前回帰を考えている人権抑圧派の方に寄って行っている気がする。(それでもまだ、人権派の中での派閥の違いにすぎないレベル、だとは思う)
「マカロンはマカロン」はメッセージの謎を名探偵の三舟シェフが解き明かし、(そこまでは描かれていないので推測にはなるが、ほぼ確実に)レストランは腕利きのパティシエを取り戻してハッピーエンドで終わる。私としてはこの甘いラストに何の不満もない。
ミステリーのフルコースとして、大満足の一品だ。
あ、こちらではここが2023年最初の投稿となります。
あけましておめでとうございます。本年もs-jhonとその作品をよろしくお願いします。