南海キャンディーズの山里亮太さんが書いたエッセイ本『天才はあきらめた』を読み終え、私は物凄く感銘を受けた。
現在では一流の芸人として活躍し、テレビでその声を聞かない日はないほどと呼ばれる彼だが……実際は苦難の連続だったのだ。
もうね、感動した。
若き日の売れない葛藤が、今の自分に重ねって、心に響きました。辛い日々があったはずなのに、負けずに立ち向かう姿が胸にグサリと突き刺さった。本当良い作品なので、是非とも皆様にも読んでもらいたいです。
閑話休題
お恥ずかしい話だが、私は天才に憧れていた。全然努力していないのに、結果が出てしまう天才というキャラに。
もっと正直になろう。
私はカッコつけていたのだ。天才というキャラに憧れを持ち、そんな人間になろうと努力を行っていたのである。
「小説になんて興味ない。ただ新人賞に送ったら、入賞して作家デビューしちゃった」みたいなエピソードを偉そうに語りたかった。
アイドルになった女の子が言うでしょ?
オーディションに応募したのは、実は周りの人で……みたいなエピソードが。
自分もあんな感じで話したかったのだ。
で、周りの人々から「天才だ!」「かっこいい!」みたいな感じで尊敬されたかった。
でも、今の私はそんな地点にさえ、未だに辿り着くことができずに、燻っている。
情けない。ただただ、情けない。
自分の無力さがひたすらに情けない。
自分の愚かさがひたすらに情けない。
ただ、それよりも。
天才だと勘違いしていた自分が情けない。
自分は天才だからと言い訳し、努力をサボってきた自分が憎い。自分は天才だから、自分は最後にホームランを打つタイプだから、自分は遅咲きだから、自分は大器晩成型だから、そんな言い訳を続けて——。
ちっぽけな自尊心を保っていた自分が、情けない。自分に偽り続けて、現実を直視していなかった自分が死ぬほどに憎い。
だから、私は今日宣言する。
本当の自分を認めて、次に進もうと思う。
「私は天才じゃない。ただの凡人だ」と。
今まで認めたくなかった。
ちっぽけなプライドが壊れるから。
一度足りとも肯定したくなかった。
凡人だと自覚したら、立ち直れないから。
だが、私は何度でも言ってやる。認めてやる。プライドを捨ててやる。次に進むため。
私は天才じゃない。ただの凡人だ。
天才に勝つためには、努力するしかない。
努力を続けて、天才に勝ちたい。天才を超えたいのだ。努力だけで奴等に勝ちたい。
本気で頑張るとか、一生懸命やるとか、全力でやるとか、そんな類の言葉はカッコ悪いから大嫌いだった。
私は天才に憧れていたから、全然本気出してませんけど、まだまだですよ。本気出したら、もっとヤバいですけど……みたいなオーラを醸し出したかった。
でも、もうやめだ、やめ。
偽りの天才を演じるのはもうやめよう。
今後は凡人として努力を積み重ねる。
その先が希望か絶望かは分からないけど。
それでも書き進めた道に答えがあるから。