当分の間、小説からめっきり離れていました。
仕事と生活に重きを置いていたのはありますが何より小説そのものがちょっと苦手になっていたことが大きいです。読むことも嫌になっていました。結構長い期間だったと想います。
戻ってきた理由は一冊の本のおかげです。
7友人たちと読書大会をやろうと冗談で盛り上がった中で、伊坂幸太郎先生のアヒルと鴨のコインロッカーを読むことになりました。
学生の頃から、伊坂幸太郎先生の本は気になっていたものの何となく避けていました。タイトルの壮大さに気後れしていた覚えがあります。
たまたま読書お題として選ばれたアヒルと鴨のコインロッカーは当時学校にはありませんでしたので初対面でした。
いざ表紙を開き、最後の一文を読み終えるまでおよそ10日。この間に、私に根付いていた小説観が見事にひっくり返りました!
小説ってすごい。こんなの書けるんだ、何て面白いんだ。
言葉に起こせない純粋な感動を覚えたのは本当に久しぶりでした。拙いなりにも自分で文章を書くようになってからどの作品、どの作家さんにも批評する目線になってしまいいち読者として楽しむことができなくなっていたのです。それを取っ払ってくれたのです。
革命が起きた気分でした。登場した人物たちへの、溢れんばかりの想いが落ち着くのに時間が必要でした。もう一度読みたいのに、もう一度彼らを感じるのは何だか勿体ないような怖いような気持ちになって今は本棚にそっとしまっています。まるで神様を隠している気分です。
そんな読書体験のおかげで、再び本を読む楽しさを知りました。おかげで、あれだけ避けていた本に触れることができ図書館や本屋さんへ足を運ぶ回数が増えました。最近は暑さに負けてなかなか行けていませんが……。
今月はS&Mシリーズをいくつか読みました。森先生のミステリーはテンポが崩れず、かつ「え?!」と予想をすべて裏切ってくるのがたまらなく楽しいです。また以前から応援している鯨井先生の新刊「沙を噛め、肺魚」を積読しています。どんなお話なのかワクワクです。
そんなこんなで、読書を楽しんでいると次は自分でも書きたくなってきました。でも自分の文体に自信がないのは変わっていなくて、自分の文章って汚くて気取っていて恥ずかしいと感じています。ですが、思い切ってカクヨムに残していた作品たちを読み返してみたら、これがまた不思議なことに良かったんです。「私の文章、最高じゃん」と感動しました。自然と、書いてみようという気力がちょっとずつ戻ってきました。
今後は、少しずつ小説を載せる予定です。公募もまた頑張りたいので無理ないペースでやっていきたい所存です。
もし、以前に私を知っていた方がいたらそのときは生温かく見守っていただけると嬉しいです。ぼちぼちやっています。