私はよく後悔する。
今日もお風呂に入っている間も、後悔だった。一緒に入っていた焉貴(これたか)が、
「後悔は先に立たないって言うでしょ?」
「まぁ、だから、後で悔やむと書くわけで……」
「でしょ? 必ずすることなんてしなくていいじゃん。もっと普通じゃないことすればいいでしょ」
こうやって、我が家のミラクル風雲児は、教師という立場と300億年という人生経験で、思いもつかない名言を残すのである。
感動しながら、体を拭き着替えていると、焉貴は全裸でバスルームから出て行こうとする。
「いやいや、服着るの苦手だから、寝るとき全裸だからって、まだ服は着てよ」
「え〜? いいじゃん。もう子供寝るし、夫婦だけなんだからさ」
「何か着るもの持ってないの?」
こうして、ミラクル風雲児は再来するのだ。
「じゃあ、お前、俺のバスローブになって」
私が体に巻きついて、隠すってことか!
思いもつかない発想をしてくるのだった。