ある夜、自室の鏡が光って、向こう側に行けるようになっていたら、あなたはどうしますか。 その世界は、あべこべな世界。重力というものが存在しないかの如く、全てのものがおかしな方向に自…

雪の日。突然、空から何かが落ちてきた。それは大きな羽を持っている鳥のようだが、人の体を持っているのだった。 落ちてきた者は、自分を『雪の降り子』──天使だと言った。 出会うはずの…

ピアニストである主人公は、ある日不思議な世界に飛ばされ、そこにいた正体不明の女性に、これまた不思議なことを頼まれる。 「私に『月光の景色』を見せて」 この一言が、落ちこぼれピ…

　昔は、自分が願い、相手も願うと、夢で会えると言ったものでした。 　大事な人を亡くして三年。沈んだままの私は、夢で大事な人のようで、違う人と会いました。 　大好きな人との時間は、…

「ずっと、濡れていなきゃいけないの」 雨に濡れる美しいあなたはぽつり、私に言った。 「私は、濡れられないや」 からりと乾いた私はぽつり、あなたに言った。 触れるためには命を捧が…