前の近況ノートで
「流れをせき止めるキャラは大問題」
「流れを捉えている時に目に留まる存在がある」
という話をしました。
そうなのです
重要なのは、流れの中で、目に留まったり、存在感を放つ存在が現われることがあるということなのです。
それは、良性の時と悪性の時があり、
悪性の目立ち方をすると作品や音楽を台無しにして、観客をがっかりさせる悪しき要素なのですが、
実はこれ、目に留まってもその存在が心地よく、素晴らしく、良性である場合は作品に一層魅力を添え、華やかにしてくれる効果が期待できるのです。
つまり我々、小説を書くものとしては、別に流れを一瞬せき止めるようなキャラや展開が生まれてもいいのです。作者としての腕の見せ所は、この時、そのキャラや展開を悪性ではなく、良性のものにすることが出来れば、むしろ作品もそのキャラも好意的に受け止められることが出来ますから、そこがポイントなのです。
私が読んだ話では、この流れをせき止めるキャラがヒロインであり、「奇怪な空気読まない幼稚な言動」が悪性であることから、非常に存在自体がやたら目に付き邪魔な存在に思えた、という理由がありました。
こういう、流れが一瞬止まった時に読み手の視線がそちらへ向きますね?
流れを止めたキャラに注目はどうしても集まります。
その時このキャラが「悪性」だと(キャラとして魅力の無い人物)、非常に目障りで、「流れを止めるんじゃねえよ💢」という悪い印象を強く付けてしまうのです。
しかしながら例えばスポーツでいうと、野球で、相手が反撃の流れに入り、点差を詰められている時、「相手に流れがあるな……」とサポーターが感じ、不安に感じている時に、ピッチャー交代して交代したピッチャーがズバーッ✨✨と連続三振取ってくれたら 【相手の流れを阻害したが、素晴らしい連続ストライクである】と非常に流れを遮っていてもより一層カッコよく感じられますよね?
人間は「悪い出来事で驚かされたくない」という共通の認識があります。
驚かされるならば、良い出来事で人間は度肝を抜かれたいのです。
創作者は「受け取り方は人それぞれ」などという考え方に甘えたり逃げたりしては絶対ダメです。
「多くの人が心地よく感じるもの」
「敵も味方も称賛するようなプレー」
いわゆる「万人受け」をする人や行動、ものはある一定であれば
存在するのです。
プロを目指す創作者であるならば、使う使わないは自由にせよ、こういう「万人受けするキャラ」や「行動」といったものがどういうものかは押さえておかねばなりません。
これが分かると、流れが澱んだ時に、こういうものをそこに据えると、
読み手の意識を強引にそのキャラや行動に誘導しても、不快感を与えず、心地よさを思いがけず与えることが出来、
その喜びが「思いがけなかったことから」、尚更好感度が爆上がりしたりする効果を期待できます。
私の読んだ話ではヒロインの言動の幼稚さで、人の気を引こうとしていました。
だから不快感しかなかったのです。
あれはただヒロインを目立たせたいという部分の作者の意図しかなく、
読み手の意識を強引に誘導する時には「必ず良性にしなければならない」というポイントを全く押さえていない悪手なのです。
これはプロになりたいと目標を掲げている作者ならば、絶対に押さえておかねばならない部分で、プロは自分を好みを好き勝手に書いてるだけでは絶対作品は支持されません。
【万人に受け入れられるキャラや、言動とはどういうものか】を
しっかり押さえて、それは重視しなければいけないのです。
あの作品は、そこを全く押さえられていませんでした。
だから非常に私としては評価が低いのです。
私は【澱みを見抜く目】は流れのあるものすべてに応用出来るとして音楽を上げたんですが、なにか分かりやすい例題はないかなあと一日中そのこと考えていたのですが(他に考えることはないのか……😇)、
さっき思い浮かんだんですが、
みなさんアニメの「宇宙戦艦ヤマト」って知っておられるでしょうか。
残念ながら私は全く内容知らないんですが、
しかし内容知らない方も恐らく主題歌は聞いたことがあるのではないかと思います。
「宇宙戦艦ヤマト~♪」っていうあれです。
私も内容全く知らんのですが、さすがにあのアニメの主題歌だけは聞いたことがあるのですが、あの曲のその「宇宙戦艦 ヤ マ ト~~~~~」の
ト~~~~~~の直後に、金管楽器の音で【パッパラ~~~~🎺】っていう旋律が入るの分かります!?
正確には【パッパラ~ッ パ・パ・パ パッパラ~ッ!】ってとにかくヤマト~♪の直後に必ずこの旋律でペットが吹きに吹きまくってる部分があるのです。
この曲を聞いていると、一つの流れの中で、不意に介入して来る異質なフレーズなのですよ。
しかし多分、みなさんこの部分、多分頭に残っていると思います。
なんなら宇宙戦艦ヤマトの曲を全部知らなくても あの「宇宙戦艦ヤマト~♪ 【パッパラ~ッ パ・パ・パ パッパラ~ッ!】」の部分は分かるわ~って記憶に残ってる人いると思うのです。 私もそうなのですが、
私が思うにあのトランペットのパートは流れの介入者としては抜群に【良性】なのですよ。入るタイミングと、勇ましく戦う戦艦を思わせるファンファーレ質の旋律が、非常に「利いてる」のです。
誰しもの記憶に残りながらも、
ではあのパッパラ~!!! が無いと考えて聞いてみてください。
ものっすごく地味です!! 凡庸な曲調になってしまうのです。
あのトランペットのパートは【聞いてる人の意識を一撃で奪い、心地よく感じさせる】という最高の仕事をしているのです。
これと同じことがアニメ版【美女と野獣】のエンディング曲でも起こっています。
御存知でしょうか。アニメ版【美女と野獣】のエンディング。
野獣の呪いが解け、王子に戻り、最後は呪いを掛けられていた人々も人間の姿に戻り、舞踏会で踊るシーンで終わるのですが、
あの時に【美女と野獣】のテーマ曲がラストに掛かるのですが、
この踊ってるシーンに流れるテーマ曲、分かりやすく日本語版の歌詞で説明すると
「語り継ぐ物語
優しさで開かれた
愛の扉
幸せな幸せな物語」
と最後の部分だけ歌詞が付いています。
この時の愛の扉~~~~~♪って歌いあげている裏側で、金管楽器が美しい旋律を吹いているのですが、愛の扉~~~~の直後に【ンパパパパパ】ってホルンかユーフォニウム系の特徴的なパートが入るのです。
私はこの ンパパパパパ……の吹きまくってる所が大好きでしてね
ここも、最初聞いていた時からものすごく流れの中では異質なパートなのです。
不意に聞こえて来て、非常に目立つ効果を生んでいるのですが、
最後の最後のフィナーレで華やかに終わることから、
美女と野獣のテーマは色々な形で作中流れるのですが、
この華やかなエンディング仕様で【ンパパパパパ】という金管楽器が歌い上げてるのはこのシーンだけで、非常に印象的なのです。
最後の最後に相応しい、オーケストラ全体がフルパワーで歌ってる感じの時だけに挿入されてるフレーズなのですけど、
じゃあこれもこの【ンパパパパパ】の部分が無かったら……と想像して聞いてみると、本当にちょっと味気ないのです。
彼らがいるから、最後盛り上がってるのですよね。
ヤマトはともかく美女と野獣の方はわかんないという人はぜひ聞いてみてください。
サントラで言うと【美女と野獣】のED曲ではなく、
【Transformation】という曲のラストまで聞いてるとこの部分が挿入されています。
アニメ版の映像で言うと、舞踏会で踊っているベルと王子のダンスが、カメラの引きでステンドグラスに重なって行く部分なのですが、カメラがステンドグラスをクローズアップするアングルで大きく動く、近づいて行く動きに合わせてこの【ンパパパパ】の部分が鳴っていることから、
カメラの動きも完全に念頭に置き、この【ンパパパパパ】の金管楽器フレーズが作られて重ねられていることが伺え、
エンディングとして、映像、音楽、シチュエーションと
美しさが黄金比でパーフェクトの完成度なのです。
非常に耳に残るパートでありながら、雰囲気を全く壊しておらず、
むしろ盛り上げている。
つまり、これが【良性】の澱みの条件なのです。
小説で言うならば、突然介入する、キャラ、言動でありながら、
【本筋の雰囲気を全く壊さず、補助や、支援効果を生むような動きに徹する】
ようにさせると、
読み手としては「突然出て来たけどこのキャラ冴えとるな😊」と非常に本筋を邪魔せず、むしろ更に魅力的な展開や雰囲気にしてくれることから、そういう「いい塩梅で来おった」という好印象を与えられ、大変好かれるキャラや言動になる効果を生めるのではないかと思うのです。
それでいうと本尾さんの所の月華さんは、
第三部で不意に出て来たけれど、
今まで第一部第二部で積み上げて来たハヤテさんのイメージを全く損なわず尊重し、彼に「今までと違う風になって欲しい」みたいな変化を強要するようなこともなく、
今までの本筋を崩さず、「共に戦いたい」という奥ゆかしいスタイルで
スッ……✨と物語に入って来た所が、非常に好印象なのです。
これでハヤテさんをただただ困惑させたり、困らせたり、好き勝手振る舞うことで、ハヤテさんが危険に陥ったり、ただただ疲労させるようなキャラであったら、多分ものすごく読み手としては不快感を感じて「突然出て来てなんだこの女は💢💢」となってしまうと思うのです。
読み手の意識を引き付けることだけしか考えていない作者は、
空気を読まずそういうキャラや、展開を投入してしまうのです。
悪性の澱みを発生させる。
しかし
「本筋を脅かすようなことがあってはならない」と弁えた作者は、
目立つ登場をしたキャラに突然無理をさせたりはしません。
今まで書いたキャラ像や展開を大切にしながら、それを一層引き立たせるような効果を出そうと考えることが出来ます。
プロになりたい人は この読み手が受ける「快・不快」を弁えた展開作りを求められるのではないかと思います。
みなさんもぜひ、【宇宙戦艦ヤマト】と【美女と野獣】の【Transformation】を聞きながら、あの金管楽器のように本筋を一層引き立たせるような効果を発生させるキャラを小説内で登場させてください。
くれぐれも幼稚な言動でただ読み手の意識を引いて、あとの展開何もないみたいなキャラは出さないように。
その人が楽しむだけならどれだけでもそういうの書いていいですが、
真剣に作品の良し悪しを捉えようとしてプロを目指し日々研鑽している人が見ると、非常に悪い印象がつくポイントなのです。
私自身も「おっ なんか突然出て来た」みたいなキャラがいきなりそれまでの真剣な雰囲気をぶち壊したり、突然我儘言い始めたり、突然要求して来たり、要するに「突然現れてなんだお前は」と現実でも思うような振る舞いをした場合、
どんなにそれまで素敵な設定の話だろうと、
一気に印象が悪くなります。
まず①美しい流れを生み出す。
②その流れの中に不意に混じって来る介入者がある。
③その介入者は必ず【良性】でなければならない。
これは鉄則ですね。
不意に物語が動くとかいうのとは別です。
①の美しい流れがある という前提の時にこの鉄則が起きます。
つまりこの時に読み手はすでに「この展開いいな~」「この曲いいな~」と感じている状態なので、
これに不快感で水を差してはいけない、という理論になります。
起承転結の【転】とはまた全然違うので、そこはご注意を。
要するに、現実で言うと折角恋人がいい雰囲気になって、美しい夜景の中で、今まさに口づけを交わそうとした時に、美しい時計台の鐘の音が鳴ったり、雲が晴れて月が出たりするのはより本筋の美しさを引き立たせるので【良性】の介入者ですが、
「あっれ~~~~~~っ? 二人ともそこで何してんのォ~~~?」
などといきなり横から出て来るムカつく空気読まない女キャラは【悪性】の介入者になるので、絶対にその時「美しいシーンを見せたい」という意図を持ってるのならば、そういう奴を書いてはダメだということです。
これが最初から「肝心な時にキスまで行かないように書きたい」というギャグの意図が作者にあるならば、別に展開としては問題ないですが、そういう場合はそのギャグ前にやたら美しい展開などを描いて、読み手を煽ってはいけませんよという、
そういう世の中の仕組みの話であります。
ここを押さえるとグッと読み手に愛される作品作りが出来ますので、
どうぞ皆さま【美しい流れ】が作中に生まれた時は、その流れを大切に。
くれぐれも作者自らの悪手で雰囲気ぶっ潰すような愚行は行わないようご注意ください😊✨
私は美女と野獣のあのラストのンパパパパパ~~~パラパラパ~~パラパラパ~~~って旋律に重なって行くフレーズ大好きなんですよ
正確に言うと
愛の扉ぁ~~~~あー あー あ~~~~~って歌った直後に裏からユーフォニウム系の音でンパパパパパ パラパラパ~~~ パラパラパ~~~って中間音で歌ってる金管がいるんですよ。
あそこがたまらん🥰
あいつがいるといないとじゃ全然曲の華やかさが違う!✨
ね!
【澱みを見抜く目】はこうしてスポーツから小説から、音楽の流れまで良性か悪性かを捉えられるのであります!
私は長きにわたるスポーツ観戦で感性を鍛え上げ、この目を手に入れましたが、もしかしたら別の角度からこの目を手に入れる人もいるのかもしれないなあ